ミュータントの説明はもっと先になるので
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・も・て・な・し(滝○クリステル風)」
「…………え? ごめんなさい、なに?」
「……なんでもない。それよりも俺を懐柔してどうする気だ? いっておくが、饅頭一個でどうにかなるほど俺は安くないぞもぐもぐ……」
「もう食べてるくせに……別に懐柔するつもりなんてないし、そんな価値もないでしょ。おいしいお菓子は皆で食べた方がよりおいしくなるの」
「その理論については大いに賛成する。食事は大勢の方がうまい。雛人形、なかなかいいことを言う」
「……あのね、私には姫っていう名前があるの。それにあなたみたいな意地汚い男に褒められても嬉しくない。食べたらさっさと出て行きなさい」
「言われんでも出ていく……ああそうだ、今回のオークションの目玉商品はなんだ? 食材だろ? そうだろう? そうといえ!」
姫は再びオークションの話題となったことに対して険悪さを隠しきれないようだったが、やがて吐き捨てるようにつぶやいた。
「――――金色のアンティークドール……残念ながら食べられないわよ」
※※※※
「え? お前マジかよ……さすがにそれは」
「うん、危険だよね。いや、犯罪だよ冥星」
「それがどうした? 犯罪だろうがなんだろうが、俺は高級食材を手に入れに行く」
「大蔵家に侵入って……俺、篠崎家だから報告しなくちゃいけないんだけど」
「なんだ隼人? 貴様また裏切る気か? よしいいだろう。そのかわりお前の醜態をあの女に逐次報告することになるぞ。隼人は変態、ロリコン、巨乳好き」
「変態じゃねーし、ロリコンでもねーよ!」
「巨乳は好きなんだよね」
「……男なら、あの山を越えてみたいと思うだろ普通」
「ちなみに、今の言葉はしっかり録音しておいたからな」
「お前鬼畜すぎるだろ……」
冥星は仕込んでおいたボイスレコーダーを大音量で流した。すると篠崎隼人の女子が一〇〇%引くであろう言葉がスピーカーで流れた。近くの女子がひそひそと話しながら廊下を去っていく。哀れ、隼人。
「……わかった。わかったよ! 黙っておいてやる! ただし! なにすんのかわかんねーけど協力もできねーからな」
「冥星、ごめんね。俺も、さすがに悪事に加担するのは……」
「安心しろ。お前たちに期待はしていない。もとより俺一人で行くと決めていたからな」
冥星は姫からもらったオークションのチラシを開いた。そこには金色の髪で、まるで外国の人形のように佇む一人の少女が映っている。今週の目玉商品、ミュータントの美少女。
虚ろな瞳は、なにか薬物を定期的に摂取され、心身ともに抜け殻となっているかのような印象を受ける。上半身裸の写真と、ドレスを着た写真、アップの写真が一枚ずつ映されている。児童ポルノなどくそくらえとでも言いたげだ。大人の性癖に関しては心底落胆を隠せない。
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