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美しき異形達
第七話 三人目その六

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「本当にね」
「じゃああたし達サイボーグじゃないか」
「そのことは間違いないわ」
「生身の人間か」
 自分の身体をまじまじと見回しながらだ、薊は言った。
「そうなんだな」
「そう思うわ、安心していいわそうしたことは」
「そうか、別にサイボーグでもないか」
「そもそも力は最近になって出て来たのよね」
「連中が出て来た時にだよ」
 薊が最初に彼等と闘ったあの時にというのだ。
「出たんだよ、力が」
「そうよね」
「私もよ」
 菖蒲もだと言うのだった、彼女もまた。
「最初に闘った時に。出たわ」
「菖蒲ちゃんもか」
「そうよ、私もね」
「何か本当に不思議だな」
「私達それぞれの出生も気になるけれど」
「力のことと怪人のこともな」
 この二つは出生のこと以上にだった、今の二人には気になることだった。
「わからないことだからだよ」
「今のところ手掛かりはないわ」
 全く、という口調での言葉だった。
「本当にね」
「そうだよな、残念ながら」
「全く以てね」
「何なんだろうな」
 またこうした言葉を出した薊だった。
「あたし達も連中も」
「それがわかる手掛かりもないから」
「今のところな」
「怪人のことはね」
「灰を調べてもらってるからな」
 二人で倒した蛇の怪人のことだ、灰を智和に渡してそれからだ。
「それ次第だな」
「何かがわかればいいわね」
「だよな、何もわかりませんでしたじゃな」
 それこそだというのだ。
「これからどうすればいいかわからないな」
「謎は多くともね」
「謎は?」
「謎は解明されていくものよ」
 菖蒲のこの言葉は極めてシビアな色があった、それを出しての言葉である。
「必ずね」
「随分と強気だな」
「強気かしら」
「ああ、謎は絶対に解けるなんてな」
「迷宮は抜けるものよ」
 迷宮入りという言葉に対する言葉である、菖蒲は今も確かな声であった。
「抜けられない迷宮もないわ」
「謎もか」
「解けない謎はないわ」
「そう言える根拠は何だよ」
「謎は人間が作ったものだから」
「人間が解けない筈はないか」
「そういうことよ。だからね」
 今薊達が直面している多くの謎もだというのだ。
「解けていくわ、必ずね」
「何か推理小説みたいね」
 裕香は菖蒲の確かな言葉を聞いてついこう言った。
「それだと」
「そうね、推理小説も人間が作ったものね」
「ええ、だからなのね」
「推理小説もどんな厄介な謎も必ず解けるわね」
「そうよね、絶対に」
 そうしなければ作品として成り立たないジャンルの小説だからでもある。推理小説とは謎が解決されていくということにカタルシスを感じて楽しむ小説だからだ。
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