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第二章

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第二章

「それがな」
 彼はわかっていた。だがそれが何かを言わずにだ。如是の稽古を見るだけだった。早朝から深夜まで連日連夜行われる稽古がさらに続いた。
 そしてだ。それが続くうちにだ。
 如是はさらに痩せた。頬がこけ身体も木の枝の様になる。だがそれでも目は爛々と光り生気に満ちていた。そのうえで稽古を続けだ。
 やがてだ。彼は見たのだった。
 稽古をしていてだ。そこに見たものは。
「これは」
 彼は自分が稽古場にはおらずに別の世界にいることに気付いた。そこは。
 しかしその世界を見た瞬間にだ。彼は倒れてしまった。気付いたのは布団の中だった。自分の部屋に運ばれそこで寝かされていた。
 枕元には師匠や弟弟子達がいた。弟弟子達は彼が目を覚ましたのを見てまずはほっとしたのだった。
「目を覚まされましたね」
「何よりです」
「どうなるかと思いましたよ」
「どうなるか?」
 その言葉にだ。彼は布団の中で目をしばたかせた。木の天井を見ながら。淡いその色を見ているとだ。それだけで落ち着きを感じられた。それを感じながらそうしたのだ。
「どうなるかとは」
「ですから。ずっとあまり食べておられませんでしたし」
「寝てもおられませんでしたし」
 彼等は本人にこのことも話した。
「ですからです」
「倒れられたので」
「そうだったのか」
 寝食を忘れていたことにも今気付いたのだった。
「私は随分と」
「ですが何とかですね」
「目を覚まされて何よりです」
「ずっと他のものが見えていなかった」
 実際にそうなっていたというのだ。彼は。
「だがあの時」
「あの時?」
「あの時とは?」
「私は見た」
 そうだというのである。
「確かにな」
「?一体何をですか」
「御覧になられたのですか?」
「それで一体何を」
 彼等にはわからなかった。しかしだ。
 師匠がだ。ここで彼に言ってきた。
「見たか、遂に」
「はい」
 その通りだとだ。彼は師匠に答えた。師匠の顔を見ながら。

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