第七話 三人目その一
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第七話 三人目
薊は裕香と共に菖蒲の家に案内された、そこは八条学園の最寄駅のすぐ隣の駅から程近い住宅地にあった。
ごく普通の一軒家だ、少し古いであろうか。薊はその家を見て案内してくれた菖蒲に言った。ここまでは裕香を後ろに乗せて自分のバイクで来た。丁度バイクから降りたところだ。
そのうえでだ、青いサイドカーから降りてヘルメットを脱いだ菖蒲にこう言ったのだ。
「いい家だな」
「そうかしら」
「ああ、いい家だよ」
こう菖蒲に言う、青い屋根の二階建ての家を見つつ。
「広そうだな」
「普通のお家、いえ一軒家だとね」
「それだけで立派だろ」
「それもそうね」
菖蒲は薊に言われて頷いた。ヘルメットを被っている間は束ねていた髪の毛を解くとばさりと落ちてロングヘアに戻った。
そのロングヘアを左手で横にかき分けてからだ、こう言ったのである。
「一軒家はね」
「そうだよ。いいお家だな」
「お祖父さんが建てたお家でね」
「へえ、そうなんだな」
「私はずっとこの家に住んでいるの」
その家を見ながらの言葉だ。
「物心ついてからね」
「それで菖蒲ちゃんは」
「ええ、義理のね」
自分からだ、菖蒲はこのことを話した。
「詳しいお話はお家の中で。それでいいわね」
「ああ、頼むな」
「藤阪さんもそれでいいかしら」
「裕香でいいけれど」
裕香は菖蒲にまずは名前で呼んでくれる様にお願いした。
「そう呼んで」
「わかったわ。では裕香さん」
「ええ」
「裕香さんもそれでいいわね」
「お家の中で、よね」
「私のことをお話するわ」
こう言ったのである。
「それでいいわね」
「ええ、お家の外でお話するよりもね」
「お家の中でお話した方が進むから」
「それにね」
こうも言った裕香だった。
「深刻なお話みたいだから」
「別に深刻ではないわ」
「えっ、そうなの!?」
「子供の頃から言われてるしご近所も皆知ってるから」
「巨門さんが養子ってことは」
「別に構わないわ、私は」
今ここで自分のことを話してもだというのだ。
「特にね」
「そうなのね」
「そうよ、けれどお家の中でお話した方が落ち着いて出来るから」
だからだというのだ。
「お話しましょう」
「ああ、じゃあな」
「今からお家の中で」
話すことになった、そしてだった。
薊と裕香は菖蒲に案内されて彼女の家の中に入った、そのうえで。
玄関の扉を開けて中に入った、するとだった。
玄関に茶色がかった髪の毛の楚々とした感じの白いエプロンに青いズボンの女の人が出て来た、その人が菖蒲にこう言ってきた。
「お帰りなさい、けれど」
「ええ、今日はお友達を呼んだわ」
「そうなのね、それじゃあ
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