第六十五話 ハロウィンに向けてその六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「お互いに頑張ろうっていいますか」
「そんな気持ちです」
「それは先生もです」
中日ファンの先生もだというのだ。
「おめでとうございます」
「はい、やりました」
「甲子園で」
「よかったですね。しかしです」
ここでだ、先生は強い声で自分の生徒達に告げた。その告げた言葉とは。
「来年はこうはいきません」
「いえいえ、来年もですよ」
「来年も勝ちますから」
「竜虎相打つですけれどね」
「来年もやりますから」
「勝ちますよ」
生徒達は勝者の喜びと共に先生に返す。
「ですから来年です」
「来年またです」
「来年阪神連覇してみますから」
「絶対優勝しますよ」
「望むところです。正々堂々と戦い」
完全い中日ファンとして言う先生だった、敗れたといってもそこには怨恨はない。爽やかですらある位だ。
「勝ちますのね」
「じゃあ来年ですね」
「来年またですね」
こうした話をするのだった、中日ファンの先生から見ても阪神の日本一は歓迎すべきことだった。そして食堂でもだった。
半額セールだった、しかも。
「うわ、全商品半額」
「どの食べものも大盛りで」
「何か破格ね」
「日本一記念って」
「当たり前だよ、夢みたいだからね」
食堂のおばちゃんもこう言うのだった。
「そんなのお祝いしないと駄目だろ」
「だからですね」
「食堂全商品半額なんですね」
「しかも大盛りで」
「この学園の食堂全部でだよ」
半額大盛りセールを実施しているというのだ。
「甲子園での胴上げだよ」
「夢みたいだからですか」
「それでなんですね」
「そうだよ、皆腹一杯食べるんだよ」
こうまで言うおばちゃんだった。
「いつも通りだけれどね」
「つまり普段以上に食え」
「そういうことですね」
「その通り、じゃあいいね」
どんどん食えとだ、おばちゃんも言うのだった。そして実際にだった。
皆この日は食堂でもフィーバーだった、阪神の日本一程いいものはなかった。そしてそれは八条学園だけではなかった。
たらふく食べた昼休みだ、琴乃は携帯でニュースを確認しながらクラスの皆に言った。
「日本中がもうね」
「フィーバーなのね」
「そうなってるのね」
「ええ、凄いわ」
最早壮絶なまでにそうなっているというのだ。
「あちこちで皆どんどん買って飲んで食べてね」
「何か景気いいわね」
「そんな勢いって」
「景気にも影響してるみたいよ」
実際にだ、そうなっているというのだ。
「もう熱狂の渦だから」
「阪神の日本一って凄いのね」
「日本の景気すら左右するのね」
「日本一になったら国中がカーニバルになって」
「景気も上がるのね」
「巨人が優勝してもね」
琴乃はここで『自分達だけがそう僭称してい
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ