第21局
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らさまな着手にアキラは戸惑った。
−これは…?一瞬ハッとしたが…、これじゃあまりに…。それとも何かあるのか?
「…さて、ここまで打って、進藤君が下辺に打ち込んできたね。これはさすがに難しそうに見えるが…」
「いくらなんでも入りすぎだろ?」
「これ、中央の石どうするんだよ」
「もう無理じゃね?」
さらに着手が進んでいくと、教室の中は沈黙が支配していった。
いつの間にか白石が各所で黒を分断し始めていた。しかし、その白もまた、各所が薄い。
尹もすでに着手を並べるだけで解説の声は止まっていた。
止まっていたというよりも、出来なかった。もはや、彼の理解できる内容を越えていたのだ。
中学生たちに理解しろというほうが無理だった。
二人の戦いについていけたのは、佐為は当然として、この場ではあかりだけだった。
もっとも、あかりとしてもついていくだけで精一杯ではあったが。
激しい戦いを制したのはヒカルだった。
中央から下辺にかけて、黒石はつぶされた。
「…ありません」
アキラはつぶやいた。それを受けてヒカルは大きく息を吐いた。
「ありがとうございました」
アキラは顔を上げて、ヒカルを見つめた。
アキラの目は、迷いが吹っ切れ、澄み切っていた。
「君の力、改めて思い知らされたよ。君の碁を見れば、君がどれだけ碁に打ち込んでいるのかもよくわかるよ…。さっき、君は言ったね、ボクが君のライバルだと。その言葉、今も同じかい?」
「ああ、もちろんさ。お前はオレのライバルさ」
じっとヒカルを見つめていたアキラは、ふっと笑顔になった。
「なら、ボクはもっと精進するよ。君のライバルとして、その言葉にふさわしいだけの力をつけてみせる。必ず君に追いついてみせる!」
「ああ。期待してるぜ!」
ヒカルとアキラの中学での初対局は、こうして幕を下ろした。
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