参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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出身なのはもう知ってるし、惟伎高にもあたしがそのことを知っているということはバレてる。
でも、惟伎高が佐々家の次期宗主と目されていると・・・そういう内情は、外部の者が知ってたらおかしいから、あたしが知ってるってことは伏せてた・・・のに!
今あたし、完全に話の流れから惟伎高が次期当主っていうこと知ってるって言っちゃったようなもんよね。
「おまえは、誰なんだろォなァ、ピィ?」
惟伎高はもう一度、そう言った。
「佐々家じゃねェのは、確かなんだがなァ・・・ヌけてるくノ一と言われた方が余程しっくりくるぜ」
抜けてるは余計よ。
「まァいいかァ。俺には最早関係ねェからなァ。優雅な隠居暮らしを手放すつもりは毛頭ねェし。おまえがこの命、狙っているというのならそれもまァ悪くねェ」
そう言って、惟伎高はあたしの横にごろんと寝転がった。
「ちょっと。寝るの?」
「寝ねェよ?おまえが逃げるからなァ」
「逃げないわよ!」
「どォかなァ?」
そう言って、惟伎高は目を瞑った。
寝る気満々じゃないの。まぁ仕方ないか。まだ鶏すら鳴く前だ。
しかし寝るなら寝るで、掛けるものもないのは寒いはず。
「ちょっと惟伎高。あたしが本当にあんたの命を狙ってたらどうするの?それにそんなとこで寝たら寒く・・・ってうそ、もう寝てる?」
あたしは呆れたがどうやら本当に惟伎高は眠ってしまったみたいで、すうすうと微かに寝息を立てていた。
どうしよ・・・。
取りに行こうにもそもそも寝具がどこにあるのか知らないし、あたしは仕方なく、自分の掛けていた布団を惟伎高に掛けてあげた。
しかしまぁこれは、あれですよ。好機ってやつですよ。
鬼の居ぬ間に洗濯とばかりにあたしはこっそり起き上がると、抜き足差し足でコソ泥宜しくそっと部屋から出て障子を閉めた。
自由だー!
惟伎高が寝ている間に掃除しといて起きてから驚かせるのも良いけれど、とりあえずこの間に石山寺探索といきますか。
あたしはのそのそと歩き出した。
「もうし」
どこから見て回ろうかな〜。ここはまずどこなんだろう。社務所?寺の仕組み自体よくわかんないんだよね〜。どこかに説明書きか地図無いかな。惟伎高に聞くのが一番良いんだろうけど、だって惟伎高、あたしに大人しくしてろって言うしぃ。絶対教えてくんないよ。
「もうし、尼君様」
「うぅわっ!びっ
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