参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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らせ方だった。普段の彼だったらもっと上手くやっていただろう。そんなことをされれば、人はもっと興味を引かれてしまうものなのに。
「教えてよ」
あたしは食い下がった。惟伎高は明らかに苦い顔をしていた。
「土蜘蛛・・・どこかで聞いたことある。確か・・・山族?」
あたしがそう言うと、惟伎高はちらりとあたしを見て、溜息をついた。
「・・・そうだ。古い山族だ。今となっては眉唾ものの、古い古い一族。遙か昔、このクニに渡来人が来て、土着の人は土地を追われて山に移り住んだ。それがいつしか土蜘蛛と呼ばれるようになった。何千年も前の話だ。この戦の国の世じゃもう滅んだって言われてェる。今山にいるのは山族じゃなくて山賊ぐれェだ」
「じゃあ、波美は?」
「瑠螺蔚」
あたしの言葉に被さるように惟伎高は静かに言った。真名を。
「おまえのその好奇心に応じて、一度だけ教えてやろう。集団の中には、必ずそこに馴染まない人間が出てくる。土蜘蛛の一族も例外じゃなかった。いつしか土蜘蛛からあぶれた者同士、集まってまた一つの集団ができた。それを波美と言う。波美とは隠れ窺見」
「窺見・・・」
忍ってことだ。山に棲む忍?それを波美って言うの?
「疑問は晴れたな?」
惟伎高は有無を言わせず爽やかに笑った。
「好奇心猫をも殺すと言うが、鳥も殺すと覚えておけ、ピィ?」
惟伎高はそう言ってあたしの髪をくしゃくしゃと撫ぜた。
「・・・脅し?」
「まァなァ。俺はおまえを割と気に入っているし、おまえのその何にでも首を突っ込みそうな好奇心は危険だと思っているよ。脅しというか、忠告だ。暗部まで気の向くまま何でもかんでも知ろうとするのは、良くねェな。今回は俺も悪かったが、聞かないふりもできるよォにしとけよォ?」
「・・・あんた波美のこと、全部話した訳じゃないわね?」
「ピィ。俺が言ってンのはそれのことだァよ。今の話は、忘れろ。おまえが関わることは絶対にねェ話だ。土蜘蛛は昔話として知ってる奴も居るが、波美は違う。名も禁忌。その存在すら、名のある家の宗主しか知らねェ」
「じゃあなんであんたは・・・ああ佐々家か」
あたしはふむと頷いたが、その時、惟伎高があたしを見た。
空気が変わった。惟伎高は何かを推し量るように、じっとあたしを見る。
あ、あたしまた何か地雷踏みましたかね・・・あっ!
さ、佐々家って言っちゃった・・・。
惟伎高が佐々家の
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