参ノ巻
死んでたまるかぁ!
3
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どう、なってるんだろうなぁ。佐々の世継ぎ問題って。あたしが考えても仕方ないんだけど。惟伎高のが高彬よりも支持されそう、とは思う。でも惟伎高は最早仏門に下り僧形。普通に考えれば順調に高彬が跡を継ぐ・・・ハズ。けどそうはなってないし、おまけに惟伎高は剃髪していない。これは今とりあえずは僧だけれど、ゆくゆくは佐々の跡を継ぐために還俗を見込んで髪を切っていない…と思われても仕方が無いわよね?うーん?なんというか、僧になったのが惟伎高自身の意思で、そういう佐々の後継とか世俗間の面倒くさいあれやこれやも捨て去ってきたのなら、髪を剃らないなんて騒動の種、惟伎高だったら真っ先に排除しそうなんだけどな。惟伎高なら、もう僧になりましたー僕は跡継ぎになんてなーんにも興味ないですーって対外的な主張ぐらいうまくしそうなものだけど・・・。
「何を考えている?」
あたしが長い間黙っていたからか、惟伎高がそう聞いてきた。
「んー・・・あんたが女嫌いって言うのって嘘なんだろうなぁって」
あたしがそう言うと、惟伎高は面白そうに口の端を上げた。
「ほォ?それも風の噂か?」
「うん。筋金入りの女嫌いだって聞いてたけど、あんた、そうじゃないわよね?」
「何故そう思う」
「んーなんとなく?」
「なんとなく、か。ははは、おまえはいいな!ピィ」
惟伎高があたしの頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。
この惟伎高が、女だ男だなんてちっぽけなことに拘って差別するような人には、ど〜しても見えないのだ。
そして、否定しないということは、女嫌いというのはタダの噂なんだろうな。いや、タダの噂というのは語弊がある。赤の他人ならいざ知らず、義妹の由良が言っていたのよ、筋金入りの女嫌いだって。てことは、意図的に流した噂、と考える方がいい。そしてどうしてそんな噂を流す必要があったかと思うと、やっぱりそれは跡継ぎ問題に絡んでくるんだろう。
うーん、ややこしい話だ。
「他には何を考えていた?」
「んー・・・なんで剃髪しないの?とか?」
「面倒だからだ。・・・と言いたいところだァが、約束した。髪は落さねェと」
「・・・そう」
それが予想以上に重く聞こえあたしは内心驚いた。その声の強さにじゃなくて、他でもない惟伎高が、心を覗かせたことに。
「難儀だァな?」
すぐにへらりと惟伎高は戯けたが、その顔には拭いきれない感情が残っていた。
「その訛り何なの?あんまり聞かないけど、東の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ