第三十四話『思うが故に』
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「……ここは」
重い瞼を開けるラウラ。真っ先に視界に入るのは夕焼けに染められた天井と白いカーテン。
ラウラはおぼろげな意識の中、自分の状況を把握する。
「私は確か……」
「目を覚ましたか」
「!?」
カーテンの向こうからスウェンが姿を現し、ラウラは疲労によって重く感じる身体を無理やり起こす。
「た、隊長……私は一体……」
「突然だが、ラウラ、VTシステムについて知識はあるか?」
「確か……条約で開発などが禁止されているシステムで……まさかそれがレーゲンに!?」
静かに頷き肯定するスウェン。
「だが今はもう心配は無い、機能が完全に止まったのが確認できた。安心しろ」
「は、はい……」
暗い表情でラウラは顔を伏せる。スウェンはそんなラウラを見ながら覚悟を決めたように
「ラウラ、すまなかった」
「?」
スウェンは当然頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。ラウラはいきなりのスウェンの行動に焦りを見せる。
「どうしたのですか、隊長! 隊長が私に謝ることなど……」
「いや、俺は……俺はお前の事を避けていた」
「え?」
何時も以上の真剣な表情のスウェンはまっすぐにラウラを見つめる。
「軍とは……部隊とはどのようであるかは知っていたはずだった。私情を持ち込むなど言語道断、それをわかっていながらも俺は、モンド・グロッソの時あのような行動をしてしまった。俺にとってシュバルツェ・ハーゼは初めて出来た俺の居場所だと感じていた。初めて俺の事を必要としてくれる人間達が居た。俺はそんな場所を壊したくは無かった」
微かに震えるスウェンの拳。搾り出すような声で言葉を続けた。
「俺はあんな行動を犯してしまった。もう、部隊の皆が今まで通り接してくれないのではないかと怖くなった。だから俺は誰にも告げず部隊を去った。そしてラウラ、お前が学園に来るとは予想もしていなかった。何よりも……お前が昔と何ら変わり無く、俺に接してきてくれたことが……嬉しかったんだ。けどそれと同時に最悪な事ばかりを想定してしまい俺は恐怖していた……だが今回の件で気づいた。お前は本当に俺の事を慕ってくれたんだと。そして俺のせいで、お前があんな事になってしまったんだと気づいた。俺は取り返しのつかない事をした……本当にすまない」
再び頭を下げるスウェン。ラウラはそんなスウェンの姿を見て、どう言葉を掛けてよいかわからなかった。だが
「……隊長、頭を上げてください。私があのようになったのは私の責任です。隊長には非はありません」
「ラウラ……」
「安心してください。私、いえ、私達シュバルツェ・ハーゼは隊長がどのような選択をしてもそ
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