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ある男の日曜日
ある男の日曜日

ある日曜日の昼、男は都会の喧騒の中を歩いていた。
いつもは家から出ることなどほとんどないが、今日は珍しく家を出て歩いている。
というのも、犬を貰いに行くからだ。

男は家を出るのをあまり好まない。
だが、親が「犬がいると、安心できる」と言って半ば無理矢理に犬を貰いに行かされている状況だ。
といっても、親とは今、同じ家に住んでいるわけではない。
父親は数年前に他界し、母親は半年ほど前交通事故で左腕の骨を折ってしまい入院中だ。
この頃は外出許可も出るようになり、元気になってきた。
犬を貰わないかという話をしたのも男が毎週通っている病院だった。

しかし、今日はやけに街が煩い。
街を歩いていると、拡声器を使っていると思しき大音量の声が聞こえた。
駅前に新しく電器屋ができたらしく、その開店セールの宣伝の様だ。


男は、大音量のその宣伝に気を取られていた。
点字ブロックの変化に気づけなかった。


直後、男は宙を舞った。



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