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万華鏡
第六十四話 甲子園での胴上げその二

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「リオデジャネイロとか」
「ああ、あの時のブラジルって凄いのよね」
「サンバのカーニバルの時はかなり」
「普段から明るい国だけれどね」
「特になのよね」
 ブラジルの子供が生まれる時期には特徴があると言われている、カーニバルから十ヶ月後に集中しているというのだ。そこまでの熱狂の時なのだ。
 そしてだ、阪神が甲子園での胴上げとなればというのだ。
「それで阪神日本一になったら」
「甲子園でそうなったら」
「もう相当よね」
「凄いのよね」
「私もどうなるのか」
 琴乃は期待している顔だった、その顔での言葉だった。
「楽しみよ」
「そうよね、日本一がね」
「それがね」
「もう飲むから」
 日本一になった瞬間はというのだ。
「これまで以上にね」
「もうリミッター外してよね」
「それで飲むのよね」
「ええ、飲むわ」
 それは宣言だった、まさに。
「記憶なくなるまでね」
「そういえば皆まだよね」
「二日酔いにはなっていてもね」
「加減してるわよね、それでも」
「シリーズの間は」
「まだね」
 そうなっているとだ、クラスメイトもそれぞれ顔を見合わせて話す。そこまで極端に飲んではいないのだ。
「記憶は残ってるわよね」
「これまではね」
「けれど日本一になったら」
「その時はね」
「私もね」
 その琴乃もだというのだ、今話している彼女も。
「家にもうとっておきのあるのよ」
「とっておき?」
「とっておきっていうと?」
「お母さんご推薦の焼酎がね」
 それがあるというのだ。
「もう凄い美味しいっていうのが」
「それどんな焼酎なの?」
 クラスメイトの一人がその琴乃の母推薦の焼酎について具体的に問うた。焼酎といっても色々だからである。
「黒糖?」
「薩摩焼酎よ」
「ああ、焼酎の王道ね」
「それ、お母さんが買って来たのよ」
「そのうちの一本を貰ったの」
「そうなの、それも一本じゃなくて二本ね」
「へえ、二本もなの」
 数を聞いてた、クラスメイトは驚いた声で言った。
「じゃあ今日か明日にでも」
「うん、それを開けてね」
「飲むのね」
「勿論皆でね」
「プラネッツのメンバーでなのね」
「ええ、飲むわ」
 そうするというのだ、琴乃は未来に期待してその目をきらきらとさせてそのうえでクラスメイト達に話した。
「そうするわ」
「最近琴乃ちゃんプラネッツの面々で飲んでるわよね」
「シリーズの間は」
「そうね、もう試合の日はね」
 毎日そうしているとだ、琴乃もそのことを認める。
「皆とは飲んでないわよね」
「今度一緒に飲もうよ」
「そうしようよ」
 クラスメイト達は琴乃に飲もうと誘いをかけた、この機に。
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