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万華鏡
第六十四話 甲子園での胴上げその一

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          第六十四話  甲子園での胴上げ
 阪神は四戦目も勝った、だが第五戦では惜しくも敗れた。しかしその第五戦の敗れ方にしてもだった。
 琴乃は自分のクラスでだ、こう言うのだった。
「惜しかったわね、昨日の試合」
「うん、あと一歩だったからね」
「一点差でね」
 クラスメイト達もその琴乃に応えて言う。
「それがね、相手のリリーフがね」
「踏ん張ったわね」
「あの状況じゃちょっとね」
「残念だけれど」
 仕方ないというのだ、だが。
 それでもだとだ、琴乃は明るい顔でクラスメイト達に言った、言えた。
「明日からまた甲子園だからね」
「マリンスタジアムから移ってね」
「ホームで、よね」
「ホームでね」
 まさにだ、その甲子園球場でだというのだ。
「胴上げよ」
「胴上げよね、本当に」
「明日か明後日に」
「いよいよよね」
「日本一よね」
「やっぱり日本一になるのならね」
 何処がいいのか、琴乃は言い切った。
「甲子園よね」
「ええ、あそこで胴上げしてこそよね」
「いいわよね」
「どのチームも本拠地での胴上げが一番だけれど」
 満席のファン達に囲まれてだ、これが最高のものであることは言うまでもない。これはリーグ優勝の時も同じだ。
「阪神もね」
「本拠地での胴上げがベストよね」
「実際に」
「前は向こうにやられたけれど」
 甲子園でバレンタイン監督が宙に舞った、だが敵将の胴上げ日本一の姿も絵になるのが甲子園である。
「今回はね」
「こっちがね」
「阪神が日本一よ」
「胴上げよ」
「今度こそはね」
 皆気合さえ入っていた、今の言葉には。
「もうその時が楽しみよ」
「甲子園どうなるかしらね」
「フィーバーは間違いなしだけれど」
「そのフィーバーの度合いがね」
 フィーバーといってもそのレベルがある、どれだけの凄さになるかというのだ。
「最高になるわ」
「阪神の甲子園での日本一」
「そうなったら」
「甲子園壊れるかもね」
「そこまで凄くなるかもね」
「道頓堀も」
 ファン達が優勝の時に飛び込むその場所もだというのだ。
「普段以上にね」
「あの八十五年以上になのね」
「前の日本一の時よりも」
「あの時は西武球場での胴上げだったから」
 今は西武ドームだ、あの時は日本一をそこで決めたのである。
「まだね」
「ましだったのね、フィーバーの度合いが」
「そうだったのね」
「そうみたいよ」
 琴乃はこうクラスメイト達に話した。
「まだね」
「じゃあ甲子園で胴上げなんかになったら」
「それこそ」
「物凄いフィーバーなのね」
「かつてない位に」
「カーニバルの時のサンパウロみたいなもの?」
 クラスメイトの一人がここでこう例えた。
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