第一物語・後半-日来独立編-
第七十一章 竜神《3》
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放たれ、黄森の戦闘艦内一艦がまともにそれを受けたために起こった爆発。
竜口砲を受けた戦闘艦は後方の加速機部分が消滅し、直撃した箇所が何処か目に見えていた。前の爆発は加速機が爆発した時のものだったのだ。
幸い後方部だったため、乗員への被害は少ないと見られる。
推進力を失った戦闘艦が落下していくのを眺め、動きが前よりも活発になった竜神が気になった。
「言う通りだな。こりゃあやばそうだ」
「拙者達の長を餌、つまり囮に使うということだがそれで成功する可能性は」
「高いな。竜神は黄森長を狙っているわけだから素直に向かわせればいい。進行の邪魔しなけらば周囲には無警戒、そこを叩くってわけ」
「タイミングが重要というわけだな。早ければ竜神の相手をしなければならず、遅かった場合は長が……」
繁真はその後の言葉を口にしたくはなかった。
喉につっかえている言葉を飲み込み、一つ頷いて。
「やってみようか。他により良い策が無いのならば」
「成功させればいいだけの話し、ただそれだけです。やってみせますよ」
「了解。了承得たってことで頼めるかい?」
「ああ、問題無い」
言いながら映画面|《モニター》を表示し、慣れた手付きで操作する。
ものの数秒という時間で、全戦闘艦へと映画面を表示。こちらの様子を映し出した。
覇王会指揮官が映る映画面を見た黄森の者達は、指示が飛ぶことを一瞬にして理解した。
彼らが聞いた指示。
「長を囮にし竜神を引き付ける。危険な賭けだが、これによって竜神の意識は長のみに集中し周囲への警戒が弱まる。今回ばかりは神相手のため宿り主である日来の長が協力し、日来長に竜神を叩いてもらう」
一呼吸置き。
「再び指示するまで手出しはするな。解ったな」
最後の“解ったな”とは、異論は認めないという意味が込められたものだ。
感じ取った黄森の者達は歯向かうこともせず、ただ一言。
『『了解』』
だけを言い、映画面を消した。
何かしら思うことはあっただろう。しかし今はそれに付き合っている時ではない。
見れば竜神から離れていく戦闘艦。
自体が変わったために竜神は戸惑ったように右往左往と動き回るが、一定の時間が経ち、戦闘艦が何もしてこないことを感じ取ると迷わず、一直線に黄森の長の元へも向かって行った。
大気の流れを無視し、裂くように行く竜神。
目に捕らえるは停泊している戦闘艦の甲板に膝を着く、疲れが見える黄森の長である央信。
身体に走っていた模様は消え、天魔の力を使った疲れが身体にいまだ残っている。
鉛のように重たくなった身体に向かって、動けと命令するが一寸も動かない。そんな央信に迫る竜神。
負の感情に支配された竜神はただただ憎むべき存在に向かって、口を開き、牙を見せて迫る。
生首を取る勢
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