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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第七十一章 竜神《3》
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ないようにしているのだ。
 繁真は先輩、自分は後輩。
 縦の関係が清継の発言を抑え付けた原因である。
 清継は真面目だ。
 先輩の考えが分からなくとも、自分の知恵が足りないのだと考える。弁えるところは弁える、礼儀もきちんとしている学勢。
 だからこの場は素直に繁真の指示に従う。
「すみません、驚いたもので。ですが長の許可無しでは皆、実行に移すことが」
「問題無い。長の許可はここへ来る前に既に取ってある。自分の身に何かが起き、指示を出さなくなった時はお前にまかせるとな」
「長との連絡を試みましたが繋がらず。天魔の力を使い過ぎ、変調を来しているのではないかと」
「王政が今向かっている。こちらはこちらでやるべきことがある」
 やるべきこと。
 それは竜神から長を守り、共に黄森へと帰ること。
 勝負は宇天の長を解放出来無かったために、誰が見ても完全に黄森の負けだ。だがそんなものは茶番に過ぎない。
 恐れるべきは茶番に負けた黄森の浮き足を取るかのように動き出すかもしれない、予想のつかぬ国と国との争い。
 黄金時代の終わりに眠るかのように息を潜めた世界大戦が、何時目を覚ますのか。
 一人でも兵力を無駄にはしたくはないため、早めに撤退の選択を繁真は下したのだ。
「日来長、今回の件は許さなくて結構だ。宇天長にもそう伝えろ。しかしこれだけは言わせてもらう」
 繁真は忠信と同じ位置に存在するセーランを見て、言い聞かせるようにこう言った。
「黄森は神州瑞穂のために戦っている。お主らが自身の大切な場所を守るのと同じように。その際に発生した障害を取り除くために、今回はこのような処置を下した。
 日来もいずれ解るだろう。どれ程憎まれようとも、進んでいく覚悟が必要なのだと」
 物事を動かすということは、動かした際に生じる問題を抱えるということだ。
 物事を生じた問題の責任は物事を動かしたものが持ち、誰であろうと逃げることは許されない。
 いずれ日来にも必ず通る道だ。
「辰ノ大花から問題を起こした責任として追求があれば黄森は素直に従おう。逃げも隠れもしない。だから今は、拙者達の長を守るために力を貸してくれ」
 頭を下げた繁真。
 その行為は一概に、素直に受け止めることが出来ぬ行為であった。
 相手に対する甘えだからだ。
 掌を返したかのような態度はあまり良く思われない。だからかセーランの返事は、
「無理だな。お前らの長を守るために力は貸せねえ。俺は俺の奏鳴を助けるためにお前らに協力してるんだし、協力してもらってる」
「言う時は言うな」
「あったりめえだ、何年日来の長務めてるって思ってんだ。一年の時からだぞ、すげえだろ?」
「ならばそれぞれ守るべき存在のため――」
 鼻で笑うセーラン。
 憎むべき存在と言っても過言ではない黄森
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