第一物語・後半-日来独立編-
第七十一章 竜神《3》
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御しながら見上げれば見える竜神。
突き立てた憂いの葬爪が抜けたために落下したのだろうと、冷静に答えを出したセーランは足場を表示。流魔線を足場に繋ぎ、落下しつつ足場を越えた一定の距離を進むと流魔線は伸びずにセーランを吊り下げた。
宙にいるものだから振り子のように揺れ動く。
何も無い足元に新たな足場を表示し、流魔線を切り離して着地する。
後から落下の速度を加えて来た繁真はセーランの横。数メートルを置いた先に足場を表示し、同時に緩和系術を発動して衝撃に対する処置を行った後、その緩和系術を足で割って見事着地した。
「意識でも飛んだかのように急に落ちるものだから心配したぞ。何かされたのか」
「すまねえな。ちと竜神に会ってきた」
「どういう……まあ、いい。事態は変わらずと言ったところだ」
の後。砲撃の音が鳴る。
音に反応した身体が鳴った方へと向き、見えるは砲撃を食らった竜神。
セーランが竜神から離れた際、再び暴れる可能性は高かった。結果、予想通りとなったため新たな命令を戦闘艦へと出した。
戦闘艦の乗組員は殆どが黄森の社交員だ。
幾多の実戦から身に付いた即座の判断能力は素直に称賛出来るし、自分がまだまだ青いことを知らしめる。
宙に立つ繁真は次の行動を日来の長に問うた。
「再び竜神へと接近するのか」
数秒の間。
「二度の接近はリスクが高い。何か対策してくるだろうな」
「最後の竜口砲|《ドラゴンブレス》から時間が経っている。竜口砲の危険度も羽上がっているぞ」
「けど接近しない限りは今のままの状況が保たれるか、崩れるか」
「結局は近付けなければ意味が無いということだな」
一回、セーランは頷く。
いまだに発動している憂いの葬爪自体に遠距離からの攻撃方法は無い。
流魔を操作し、一からものを創ることは可能ではあるが、今回の目的は奏鳴の内部流魔の回収だ。
竜神から奏鳴の内部流魔を回収するため、必要以上に竜神を傷付けると存在を保てなくなってしまい竜神が消滅してしまう可能性がある。
下手に手出しは出来無い。
戦闘艦による砲撃だけでもかなりの負担となる。攻撃の手段をこれ以上加えるわけにはいかない。
二人の元へ、後から清継が上空から緩和系術を連続して発動し、減速を図りながら足場を表示し着地する。
微かな音が鳴るだけで何も起こらない。
着地するや繁真とセーランを交互に見て、何かを確認し終えたかのように話し始める。
「狙いは変わらず長のまま。砲撃によって戦闘艦に注意を引き付けてられていますが何時まで保つか」
「うむ、そうか。……ならば辰ノ大花にいる黄森の学勢及び社交員に撤退を命じろ。戦いの幕を閉じる」
「なッ!?」
一字が出るだけで、他の言葉は出なかった。いや、出ないのではなくて自分自身が出さ
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