第34話 マールデルタ星域追撃戦
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。長くは続かない。そうなる前に、機を逃さずに正面から突破して逃げるとしよう」
「しょ、正面からですか!?」
「ああ、敵は疾風ウォルフだ。背を向けて逃げるのを見逃してくれるとは思えん。直ぐにその神速で食らい付いてくるだろう。正面から突破するよりあるまい」
「なるほど……では、その時に猛攻を仕掛けるのはミッターマイヤー艦隊がよろしいかと。
多少は楽になるでしょう」
「ふむ、一理あるな。よし、ミッターマイヤー艦隊への砲撃を強化せよ。少しでも敵を消耗させ脱出の可能性を上げるのだ」
ルフェール軍の猛火力がミッターマイヤー艦隊を襲う。
これにはミッターマイヤーも驚かされた。
「まだこれだけの力を残していたか……おそらく最後の足掻きだろうが、窮鼠と化した敵の一撃をもらっては敵わん。ここは距離を保ち敵の行動限界を待つべきだろう」
このミッターマイヤーの判断により帝国軍が一時後退したとき、作戦は始動した。
「敵の薄い部分各所に砲撃を集中せよ。一つでも多くの穴を空けるのだ!」
ルフェール軍から放たれた砲撃が、ミッターマイヤー艦隊の各所に穴を穿つ。
「不味いな、このままでは陣形が分断される。直ちに修復に掛からせろ」
ミッターマイヤーの判断と行動は適切かつ迅速であったが、ルフェール軍の攻撃は苛烈を極め、穴は修復する以上に拡大する方が早かった。
「これは……いかん! 戦艦を前面に並べて敵の攻撃を防ぎつつ、巡航艦及び駆逐艦は急ぎ穴を塞げ!」
ミッターマイヤーは直ちに指示を出すが、時すでに遅い。
「よし、このまま攻撃を強化しつつ損傷艦を内側に密集体型をとれ。その際、ウィッカム中将のスカイキープ部隊を先頭に配備。スカイキープ級戦艦の砲撃力で以って活路を切り開き、強引にでも突破する!」
そして、その時は来た。
「今だ!!」
スカイキープ級の一斉射撃が空けた穴は、これまでより巨大なものであった。
その穴にルフェール軍の全軍が雪崩れ込んでいく。
既に各所が寸断されているミッターマイヤー艦隊にこれを止める余力はない。
「くっ、これが狙いか……だが逃がさん! 高速艦を中心として1000隻程度の追撃部隊を編制。準備が出来た部隊から順次追撃に移れ!」
「閣下、それは戦力の逐次投入になりませんか?」
「敵は逃げることに全力を傾けている。追撃隊を各個撃破する余力はないさ。もし万一そうするようなら、他の艦隊が追い付いくだけのことだ」
ミッターマイヤーは不敵に笑った。
* * *
「追撃、振り切れません!!」
結局、ミッターマイヤーの判断は功を奏した。
ルフェール軍は突破に成功したものの、未だいくつかの小部隊の追撃を振り切れずにいる。
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