第34話 マールデルタ星域追撃戦
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数においても完全に逆転した……それも今回来たのはミッターマイヤー艦隊。『疾風』の異名を持つ彼を振り切るのは至難だろう………」
ミッターマイヤー艦隊の到着によって彼我の数の差は逆転し、ルフェール軍の損害は加速度的に増していった。
「巡航艦ゾルダム被弾!」
「戦艦テューシング損傷。戦列から落伍していきます!」
「駆逐艦ウェルンシェル、応答有りません!」
「空母ティグウェル、轟沈!」
「ヒルツ准将の艦隊が100隻以下に撃ち減らされています!」
総旗艦トイホーレの艦橋には各艦隊の被害が引っ切り無しに入ってくる。
「閣下、このままでは……」
「分かっている……。第6、第7陣展開、ヒルツ隊の穴を埋めよ」
第6陣と第7陣が展開して開いた傷口を塞ぐ。
だが、この処置とて所詮一時凌ぎにしかならない。
帝国軍の猛攻はルフェール艦隊に着実にダメージを与えつつある。
そんな中、不意に帝国軍の一隊が中央戦線へと雪崩れ込んできた。
「混戦に持ち込み時間を消費させるつもりか……だが、その手は食わん。戦闘艇発進用意!」
アルベインは戦闘艇を出撃させ突出してきた敵部隊を着実に葬っていく。
これだけの至近距離となると同士討ちの可能性のある砲撃よりも戦闘艇による攻撃の方が確実だ。幸い、敵の数も少なく駆逐するのに時間はかからないだろう。
しかし、ルフェール軍にとって致命的な報告がもたらされた。
「戦艦マエリオネス撃沈! ミクロン中将戦死!」
「なっ……」
この報に、司令部は愕然と沈黙する。
戦死したカルスール・ミクロン中将は第六艦隊の司令官である。
彼が担当していたのは左翼部隊であるが、ハルバーシュタット、ホフマイスターの2個艦隊の猛攻に遂に耐えきれなかったのだ。
ミクロンが戦死したとなると、左翼部隊の混乱は計り知れないだろう。
「閣下、このままでは左翼が総崩れになるのは時間の問題ですぞ。直ぐに対処を……」
「………いや、事はもう左翼だけに止まらぬ。それは全軍に言えることだ」
アルベインの言葉を聞いた周囲の者全員が、ゴクリと唾を飲み込む。
「既に前線全体が磨り減らされているな……艦隊を広範囲に展開させて猛攻を加えてきている。どうやら敵はこちらを表面から削り取っていき、不意の猛攻で一気に突き崩す意図のようだ。マエリオネスの撃沈は、その一例に過ぎんよ」
「で、では………」
「だが、手は有る。敵が広範囲に展開しているなら、当然各所はそれ程厚くはない。部分部分に砲撃を集中して敵陣に幾つか小さな穴を穿てば、敵はそこを修復に動く。そして、その時に必ず乱れが生じる」
「反撃を行うのは……その時と?」
「そうだ。だが、反撃も直ぐに息切れするだろう
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