第二章 終わらせし者と月の女神
第六話
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あるのだ」
プラギの塔において、それは突如予言されたものだった。しかし、それが各国に伝わることはない。というのもその予言を握りつぶしている者共がいるのだ。
彼らにとって予言は邪魔者だ。しかし、これは永遠に消せはしないというのも事実。であるからこそ彼らは予言を得た者を殺し、そして予言など最初からなかったかのように隠す。
ロプト教団。彼らこそロプトウスを信仰し、その復活を成し遂げんとする者達なのである。
「セレーネ。お前は生きなさい……もう私はダメなようだ。愛しき娘よ。ブラギへ……ブラギの塔へ向かいなさい。さぁ早く、彼らに見つかる前に……」
その場を血塗られた服を着た女の子が泣きながらその場を離れた。彼女の父親の遺言通りにブラギの塔へ向かって。
その男は、元神官であった。かつて幼い頃、なんらかの理由で彼は神官として育てられた。それは今は重要ではない。彼は、神からの予言を聞いた者の1人であったことが今回の悲劇を生んだ原因だった。当時のブラギの塔の神官長により、逃がされたこの男は上手くロプト教団が逃げ切ることができていた。
それは、今日を境に悲しい終りを迎えることになってしまったが。名も無き彼の死とノディオン国王が死んだ日。それは奇しくも同日同刻のことであった。そして、彼らの死こそこの物語の中において第二の始まりといっても過言ではないのだ。
「ふん、小娘が逃げたか……。お前たち、あの小娘を逃がすな殺せ」
「「「はっ」」」
暗い路地裏、月明かりさえも通さない場所に光る無数の目。男の娘というイレギュラーを取り逃がすという失態はあったものの彼らに与えられた任務は、もうすぐ終わると思っていた。そうあと殺すべきはその小娘のみだったのだから。
「セレーネ。何があったの!?」
逃げた少女は、家に帰ることはしなかった。それは賢明な判断であった。もし、帰っていたら彼女の命はなかった。彼女が逃げた先は、シルベール城の外れにある大きな一軒家。そこには彼女の親友が住んでいた。
「お父さんが殺されたの……」
そう言って、セレーネは眠るかのように気絶した。服は血だらけ、顔も涙に濡れている。彼女の親友である少女は急いで服を脱がし体に傷がないかを確かめ全身を濡れたタオルで拭き、自分の服で彼女に合う物を彼女に着させた。
「お嬢様、なにも全てあなたがなされなくても……」
「何を言ってるの! 親友のセレーネがこんなになってるのに私がなにもしないなんて貴族の名折れだわ」
「お嬢様……立派になられましたな」
貴族のお嬢様とその執事。彼らも、いずれロキの運命に巻き込まれることになる。
「立派になったとかそんなんじゃないわ。モウヒル、セレーネに何があ
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