第二章 終わらせし者と月の女神
第六話
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死にもがいているように見える。
「うっ、うぅ!」
父上が苦しそうにうめき声をあげる。ずっと手を握る母上も鳴き声こそあげないこそ、その目は涙で滲んでいる。
そのうめき声も次第に間隔が空いてきた、それと同時に父上の顔から生気が失われてきたような気がする。
「もうそろそろです」
医者が父の様子をみて、そう俺たちに告げた。そして、父上は動かなくなった。
それからの一週間は早いようで長いようないつもとはひと味もふた味も違う時間だった。アグスティからはイムカ国王も駆けつけてくれ、丁重に葬儀が行われた。
他にも、兄上の友人であったシグルドさんやキュアンさんも駆けつけてくれた。そして、皮肉なことにパーティの時に約束していた、ノディオンに招待するというのがこうして叶えられたのである。
兄上はこうした最中、国王の名乗りをあげた。誰もその意に反すものはいなかった。すべてが終わり、ようやく日々に落ち着きが戻った時、俺は兄にある許可を貰いに行った。
「兄上、私はブラギの塔へ行ってきます」
「なぜ、そんなことを言う。今は大事な時なんだぞ!」
「今が大事な時だからです。だからこそ、私は行かなければいけない」
「言っていることがわからん。ロキ、旅に出るのは後1,2年我慢してほしい」
「……私は決して旅に出たいという訳ではないのです。ただ、プラギの塔に行きたい考えているのです」
「わかった。では、なぜか理由を聞かせてくれ」
「私が天啓を受けたといえば、兄上は納得してくれるでしょうか」
「天啓だと?」
「ええ、そうです。実は1年ほど前、私はマーファ城の湖にて女神にあったのです。その時にもらったのがあの剣です」
「剣というと、あれか湖から帰ってきたらお前が拾ったと言って見せてきた剣か?」
「そうです。そして、その時の証言をしてくる友人がいます」
「それは誰だ?」
「ヴェルダンのジャムカ殿です」
「そうか……それで、その天啓とは?」
「『ブラギの塔へ行け』というものでした」
「誠には信じられない話だが……、証拠がそれだけあっては信じない訳にはいかないな……」
「ということは、兄上!」
「ああ、許可をだそう。しかし、3月以内に帰ってくるんだ」
「はい、ありがとうございます」
俺は兄から許可をもらった次の日には、プラギの塔に旅立った。マッキリー・アグスティ・マディノ・オーガヒルを通って最後にブラギの塔と言ったルートを通ることに決めた。
「かつてない試練が人間を襲う。そして、神々に導かれし者どもがそれを討ち滅ぼす。それは、古からの理であり、終わることのない決まりでも
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