プロローグ
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「プロローグ」
天才という言葉がある。意味は「生まれつき備わっている、きわめて優れた才能。また、その才能の持ち主」。似たような意味で異才、逸材などがあるが、世間一般的に多く使われているのは天才の方だろう。才能というのは絶対的なものだ。一般人がどれだけ努力しようと、天才は少し頑張るだけでその努力を軽々と越えていく。不平等の象徴だと思う人も少なくないのではないだろうか。「自分には才能がないから」「アイツはうまくやれるのに、自分は全然駄目。不平等だ」なんていう不満をよく聞く気がする。さて、ここまで長々と語ってきたが何が言いたいのかというと「天才はすごい」ということだ。今、この瞬間にも天才と呼ばれるほどの才能を持った悪魔が生まれようとしていた…
◆
「なぁ、そこのメイド。あと、どれくらいで産まれそうなんだ?」
黒髪に短髪の眼鏡をかけた男性が、落ち着きのない様子で、近くのメイドに質問した
「あと、もう少しです。なので少し落ち着いてください、旦那様」
質問されたメイドは、質問に答え、男性に落ち着くよう促した。
「これが落ち着いていられるか!」
大声でそう答え、切羽詰まったような表情で
「俺の、俺の子供だぞ!ああ、楽しみだ……」
そう言った男性は心配そうな表情で、奥にある扉を見つめた
◆◇
産まれる……
緊迫した空気の中
誕生する、新たな命が
今、女性の体から赤子が出てきて……
「オギャァァァァ」
産声をあげた
◆◇◆
「ねぇ、あなた」
これが後に超越者最大の天才と呼ばれ
「なんだい?」
悪魔の頂点に君臨するであろう
「この子の名前、考えてくれた?」
一人の悪魔の
「ああ、勿論。この子の名前は…」
ソロモン72柱が1柱、名門カイム家の次期当主
「マリク、マリク・カイムだ」
マリク・カイムの誕生だった
◆◇◆◇
そう、これは赤子だ。産まれたばかりの、そしてこれから無限に成長する超越者の新生児
世界はまだ、この赤子の誕生を知らない
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