暁 〜小説投稿サイト〜
炎と森のカーニバル
第1章〜出会い Encounter〜
第2話
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「ハァ……。」

 ふと思う。なぜ俺はこんなことをしなければならないのか。よりによってこの俺が。スマホのHOME画面を見ると、そこには白く太く『6月24日AM.10:07』と表示されてあった。
『10時ちょうどにあたしの家の前で待ち合わせね。いいでしょ?』
 そう言ったのはどこのどいつだったか。約束はきちんと守る派であるお利口な俺は、莉沙の家のドアの前で立たされているわけだ。……女って服とかメイクとかで身支度遅いから嫌なんだよなぁ。あんなに女子力低いあいつでも、オシャレとかすんのかなぁ……。なんて俺が耽ていると、ある事に気がつく。
 
 …………………………ん? ……待てよ。

 こんな不安が俺の脳裏を過る。もしかして、俺達2人で歩いてたらカップルとかに思われたりとかしちゃう……!? いや待て! 待て!! あれじゃん! 最近よくある地味系男子と可愛い系女子が付き合っちゃうとかそういう感じ!? 俺は頭を抱えた。あいつ口開かなければ結構モテるしなぁ。先週だってバスケ部の1年からコクられたらしいし……。ちょっ、ガチでやめてくれよ! そんなどっかのラブコメみたいな展開!!

「あんた、何やってんの……?」

 どっきいいいいいいいいいいいいん!!

 後ろを振り返ると、仁王立ちしている莉沙の姿が。思いっきり「どーしよ警察呼んだほうがいいかな」みたいな顔。思いっきり不審者扱いされてるよな、これ。
「「………………。」」
 うっわぁ……気まずい……。やだよこの沈黙という名の沈黙。な、何か言わないと……。
「そ、その、」
「今日はいい天気だな!」
「………………。」
 滑った! 滑りましたよね絶対! もう……穴があったら入ってそのまま生き埋めにしてほしい…………。
「ぷっ……」
「へ?」
「急に何言ってんのよ。ほーら、突っ立ってないでさっさと行くわよ」
 ニッと笑う莉沙が眩しい……! 莉沙が急にありがたい人のように思えてきてしまった。のも束の間。
「んじゃ、道案内よろしくねー」

「は?」

 俺は首を傾げた。予想外の展開なんですけど。何で誘われた側である俺が、こいつのために案内なんかしなくちゃいけないんだよ。つーか俺だって道知らねえし。一体どうしろと、…………あ。カーディガンのポケットから出てきたものは俺のお気に入りのスマホ。そういえばスマホに地図アプリついてるよな。えーと、ここが桜木町。コスモパニックって確か『よこはまコスモワールド』っていう中にあるから…………。
「修也、電車とか使う感じ?」
 莉沙は俺のスマホを覗きこんだ。
「いや大丈夫。芸大通って行く感じ。ちょっと時間かかるかもしんないけど、まぁお前なら大丈夫だろ?」
 「よゆーよゆー」とVサインを送ってきた余裕ぶっこいでる莉沙。こいつバスケ部だし
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