第18局
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微妙な表情になった。
奈瀬自身はヒカルの碁だけに興味を持っているようではあったが、それでもやはり気になってしまうのだ。
「…ねぇ、ヒカル、私も一緒していいんだよね?」
「ああ、もちろん。あかりの勉強にもなるだろ?図書館は日曜にいけばいいしな」
少し複雑な表情をしているあかりの様子にはまったく気づかず、ヒカルは屈託なく答えた。
「ただなー、もっといい場所があればいいんだけどなぁ。碁会所とかなら2面使えるけど、うちじゃそうも行かないからなぁ」
そう、ヒカルの家には碁盤が一つしかない。二つあれば2面打ちでの指導も可能なだけに、ちょっと残念だった。
「なら、その日は私が家から持って来ようか?」
「ああ、あのおもちゃのがあるか…。ま、そうするしかないかなぁ」
−奈瀬も着実に力をつけてきていますからね。ヒカル、しっかり指導してあげてくださいね。
「わかってるって。まぁ、2週に1度で勘弁してもらうけどな。約束した以上、きちんと指導するさ。奈瀬がどこまで上達するのかも興味あるしな」
以前のヒカルが奈瀬と初めて会ったのは中学1年の院生に入ってからだ。その当時と比べても、今の奈瀬は少し強くなっているように感じた。間違いなく、ヒカル達との出会いの影響だろう。
自分の存在が、以前と異なる出来事を生み出しているこの事実。
そのことが気にならないといえば、嘘になる。
先々のことを考えれば、、また起きるかもしれない別れが、とても怖くもあった。
ただ、今のヒカルは、とても幸せだった。
佐為がいて、佐為と碁を打てる。
佐為と一緒に、神の一手を目指して碁を打てる。
それが何よりも嬉しかった。
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