Episode25:龍舜
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して一瞬で戦闘の主導権を握っていた。
突き込まれるナイフを紙一重で躱し、カウンターとして裏拳をテロリストの一人の顔面に叩き込む。『雷帝』によって筋力が格段に上がっているため、隼人の拳を諸に受けたテロリストは数メートル吹き飛び、そのまま起き上がる気配はなかった。恐らく死んではいないだろうが、顔の骨格が若干歪んでしまっているかもしれない。
しかしその結果を見ることなく隼人は次の標的に狙いを定め、そして一気に懐に飛び込む。一瞬で間合いを詰められたことに驚いている敵を回し蹴りで弾き飛ばして、レオを背後から襲うテロリストにぶつけて動きを止めてから、レオの硬化された拳が二人を殴り飛ばした。
襲いかかってくる敵を逆に踏み込んで襟首を掴み、隼人はそのまま横薙ぎに振り回して周囲の敵を敬遠させる。タタラを踏んだ敵の一人に狙いを定めると、瞬きの一瞬のみで標的の体を蹴り飛ばして後方から迫る魔法にぶつけて盾にした。その後も隼人は縦横無尽に戦場を駆け抜け、多くのテロリストを地に伏せていた。そんな滅茶苦茶な戦闘方法に、達也は思わず呆れた目を隼人に向けていた。
だが、戦い方が滅茶苦茶なのは何も隼人に限ったことではない。
「オラァッ!」
手甲のように前腕を覆う幅広で分厚いCADで、振り下ろされた棍棒を受け止め、殴り返す。
「あんな使い方して、よく壊れないわね」
もう隼人の戦いには呆れて目もくれず、エリカはレオのCADに興味を示していた。
「CAD自体に硬化魔法が掛けられている。硬化魔法は分子の相対座標を狭いエリアに固定する魔法だ。どんな強い衝撃を受けても、部品間の相対座標にずれが生じなければ、外装が破られない限り壊れることはない」
「どんだけ乱暴に扱っても壊れないってわけか。本当に、お似合いの魔法」
乱戦を避けるためにエントランスへ回り込みながらレオの戦いを評価するエリカを余所に、隼人とレオの戦闘は激化していった。
(予想より数が多い…ここは一気に蹴散らしたほうがいいか)
テロリストの一人を蹴り飛ばしながら隼人は思考する。
流石は主力というところか。組員一人一人の技術力は低いが、数の暴力がそれを補って余りある。
戦闘を長引かせては意味がないと判断し、隼人は戦い方を変えた。
「全てを凍てつかせる斬撃!」
隼人の掌から噴き出した冷気が、瞬く間に巨大な剣を象って五人を氷漬けにした。氷の剣に囚われた五人の絶望に染まった表情を見て、この場にいた隼人と司波兄妹以外の全員が息を呑んだ。
それほどまでに、今の魔法は凄まじいものだったのだ。
「レオ!」
思わず体が固まってしまっていたレオに、自棄になったテロリストの凶刃が襲いかかるが、間一髪、二人の体の隙間に割り込んだ隼人がナ
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