Episode25:龍舜
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るのかは判断できないが、早めにこの事件から手を引いてもらうに越したことはないだろう。
「俺の『眼』は特別製でしてね。イデアを覗くことができるんですよ」
「イデアを、覗く?」
情報体次元とは、魔法発動のために使用する個別情報体のある次元のことだ。
その次元を『覗く』。つまり、隼人は世界に存在するエイドス、そしてそれを構築する想子を見ることが可能ということだ。
それが一体どういうアドバンテージを得ることができるのか、それは現代魔法を学ぶ者はすぐにでも分かることだ。
基本、魔法はエイドスという情報体を改変して発動することになる。だから、魔法を使えば必ずイデア内でなんらかの変化が起こることになる。イデア内を覗くことができるならば、『改変されたエイドスを見てなんの魔法が発動されるのかを判断することができる』またそれが不可能であっても、一般の魔法師よりも素早い対応が可能になる。
また、人間は幾ら魔法の才能がなくても体内に粒子であるサイオンを保有している。
隼人の見ることができるイデアの世界では物体は透過される。故に、もし敵が建物の中に潜んでいたとしても、魔法師の普通より活性化されたサイオンを見つけ、その居場所を突き止めることは容易い。
「はい。だから、俺は敵の居場所を素早く認識し、迅速に対象に接触することが可能です」
「…しかし、確証がない中でそう簡単に信じるわけにはいかないな」
摩利は風紀委員長。常に責任が着いて回ってくる。ましてや今回の事件は危険度がこれまでのような生徒間の小競り合いとは段違いだ。確証のない賭けをすることを、摩利は容認できなかった。
「うーん…こればかりは信じてもらうしかないんですけどね」
苦笑いしながらすっかり冷えてしまった珈琲を飲む隼人。その苦さに一人の女性を思い出すのと同時に、ふと前のことを思い出した。
「そういえば、市原先輩の前でなら一度使ったことがありますよ」
それは入学式の日。居眠りをしていた隼人に鈴音が真由美の捜索を頼んだ時のことだ。時間ギリギリになっても見つからなくて、隼人は仕方なくその眼----世界の心眼を使って真由美と達也を発見した。
その隼人の言葉を聞いて、摩利は端末を取り出すと淀みない動作で鈴音の番号をコールした。コール音が三回ほどした後、相手は通信に応じた。
「ああ、市原か。今カフェで九十九と二人でな…っとそんなに怒るな。アタシは彼氏持ちだから奪いやしないさ。え?そんなことは言ってない?またまた、照れなくてもいいぞ…ってスマン冗談だ!頼むから切らないでくれ」
一体なんの話をしているのやら。本題から大きく脱線した会話を隼人は全力で聞かないようにした。
「ああ、
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