暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode25:龍舜
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たくなるのを抑える。

(隙がまったくと言っていいほどない…迂闊に接近するのは危険だなぁ)

ツゥ、と嫌な汗が隼人の頬を伝う。あのバカっぽいのが表の顔だとすると、今の彼女、否、彼は裏の顔なのだろう。表の人格があれだけのバカなのだ、その反動で裏の人格が思慮深く厳格な態度をとるのも理解できなくもない。
まあ、それは二重人格ということを前提にした話なのだが。

「それで…アンタが出てきたってことはここから本気ってことでいいのかな?」

正直な話、隼人はここでこの男と戦いたくはなかった。この男がかなりの強者だということは明らか。そんな人間と戦って、この敷地に被害を出さない自信は隼人にはない。

まあ、これほどの圧力を放つ敵を前に自分の身ではなく周りの被害のことを心配する辺り、隼人は自分の強さに自信を持っていることが窺える。

「ふむ…」

隼人が警戒する中、男が放った言葉は隼人の予想を裏切るものだった。

「いや、残念だが俺はここで引くことにしよう。どうやら向こうの勝負がついたらしい」

「!」

向こうの勝負、とは鋼がまだ戦っていることから、恐らくは達也たちが乗り込んだ図書館の方の戦いだろう。やはり敵の狙いはこの学校に隠されている機密文書だったようだ。

「……簡単に逃がすとでも?」

「ふ…ここで戦えば互いに不利益を被るだけだということはお前にもわかっているのだろう?」

隼人の虚勢は、男に軽々といなされた。今度は抑えることもせずに舌打ちをして、隼人は握っていた拳を解いた。

「まあ、そう焦るな。また後でだ…そうだな。コイツ等の隠れ蓑である丘陵地帯の廃工場で決着をつけよう」

「…うん」

ブランシュの拠点をあっさりとバラした男。だが、そこには表の顔である女のように、なんの考えもなくペラペラ喋ったという感じはなかった。恐らく、隠していても無駄だと判断した故だろう。
男の提案に、隼人は小さく頷きを返すことで同意を示した。

「ではな」

そう言って、男の姿は霞がかって、やがて消えた。隼人の見るイデアの世界にも、彼の、龍舜秦が世界に残した痕跡はなにもなかった。

「…認識阻害系のBS魔法かな。厄介だなぁ」

本当に厄介な事になったと溜息を吐いて、隼人はテロリストを縄で縛る鋼を手伝うことにした。
























テロリスト達を全て捕縛し終えた隼人達は現在、重要参考人として保健室に軟禁している壬生紗耶香の事情聴取を行っていた。
勿論、主だって話を進めているのはこの学校に三巨頭として君臨する三名の重役、七草真由美、渡辺摩利、そして十文字克人だ。隼人は、余計な口出しをせず、行く末を見守るだけとなった。ちなみに
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