Episode25:龍舜
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を最大まで削り、極限まで『刀』に近づけた『剣技特化型CAD』とも言うべき代物だ。
多分、そのCADは極単純な魔法式しか登録されていないのだろう。
女と戦闘を始めた時には既に鋼の観察はここまで終えていた。そして、自身の勝ちをほぼ確信していた。
女が幾ら剣技に自信があっても、鋼にはそれらを見切れるだけの技がある。警戒すべき魔法は基礎単一系統及び少しの応用。それならば、鋼は十分に、驕りでもなんでもなく回避してカウンターを叩き込むことは可能だった。
だが、今になって分かった。
女には、技術体系化された魔法は必要がない。そんなものがなくとも、彼女が『生まれ持った』才能で敵を沈黙させるのは容易だったのだ。
「……厄介だ」
そう呟いて、鋼は影のように揺らぐ女を睨んだ。
それを戦闘開始の合図ととったのか、女は徐に刀を構え-----
「フッ!」
「っ!?」
----頭上から繰り出された第三者の蹴りを、刀を握る腕で防いだ。
「っ!?」
「チィッ」
防ぎつつ驚きに目を剥く女に、舌打ちを漏らして距離をとる青年。
「やっと来た…」
その姿を見て、鋼は安堵の溜息をついた。自分一人ではどうにも決めきれないところだったのだ。
「……見つけた」
「ん?あ、この間の少年!」
「へ?」
目を細めて、警戒するように構える隼人に、本当に嬉しそうに声を弾ませる女。
二人の関係を知らない鋼は、首を傾げるしかなかった。
「いやぁ、この間はお前のお陰で助かったよー」
「別に、助けたつもりはないよ」
隼人らしくないつっけんどんな態度に、鋼の首の角度が更に大きくなる。
「またまたぁ…まさか少年はツンデレか!?」
「誰がツンデレだ。あんたに対してデレたことなんかないよ」
あまりにも温度差のある二人の会話にまったくついていけていない鋼は、せめて親友の珍しい姿を記憶に焼き付けておくことにした。
「…で、なんであんたがここにいるの?またお仕事ってヤツ?」
「おー!そうなんだよー!なんか、ここに攻め込むから護衛しろって言われてさぁ…」
相変わらず言ってはならないことをペラペラと喋る女---龍舜華に隼人は呆れたように溜息をついた。
しかしそこで気づいた。退屈な命令への不満で尖らせていた女の唇が、妖艶に弧を描いていることに。
「でもまぁ、お前と戦ってみたら楽しそうだよなぁ…最近、本気出せずに負けることが多くてストレス溜まってんだよ。なぁ少年、ここまで言えば、次やることは分かるだろ?」
「…ただのバカかと思ったら、とんだ戦闘狂だ」
心底呆れたように言葉を吐き出し、剣呑な光を灯した瞳で舜華を睨みつける隼人。舜華がニヤ
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