Episode25:龍舜
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」
「っ…」
侵入者が気配を掴むことができなかったのは霧のせいではなく、暗殺者である隼人の能力だと知ることは二度と訪れることはないだろう。
後が面倒なことになるため、殺してはいない。ここから運良く逃げ出せたとしても、失敗者には死を。犯罪組織とは、そういうものだ。そしてこのまま起きず、警察にでも捕まれば彼らはこれからの長い人生の殆どを刑務所で過ごすことになるだろう。だから、彼らが生きてもう一度隼人に出会うことは恐らくない。
「ふぅ…」
隼人の溜息を合図としたように、今まで視界を遮っていた霧はゆっくりと消えていった。
目の前に転がった五人の男を一瞥して、隼人は図書館内に目を向けた。
「一番奥…特別閲覧室だっけ?うーん、正直あの四人が行ってなにかあるとは思えないしなぁ」
達也、深雪だけでも十分だと思えるのに、そこにレオやエリカが行ったらそれはもう明らかに戦力過多だ。どうやら、一人は一階に残って敵の足止めをしてるようだが、エイドスの変化があまりないから、激しい戦闘ではないと見て、救援は必要ないと判断する。
図書館への突入は不要という判断を下した隼人は、もう一つのやるべき事のためにぐるりと校舎内を見渡した。さっきまでは目立った反応がなかったため放置していたが。
しばらく校舎内をイデアを通して見ていた隼人の目は、実技棟で止まった。
「見つけた。あそこは、鋼のとこか…ん?」
取り出した端末には一件の受信メール。なんだろう、と思いながら送り主を見てみると鋼からだった。
『ヤバイの来たたすけて(´・_・`)』
「……行くか」
どうやら当たっていたようだ。
今回の事件で、隼人が最も警戒している人物、龍舜華。
鋼のメールのせいで緩みかけていた集中力を高めるように目を瞑ってから、隼人は駆け出した。
「このっ!」
半ばヤケクソ気味に突き出した拳は、やはり躱されてしまう。そしてすぐにカウンターとして襲い来る白刃を頬に微かな裂傷を負いながら避けて、バックステップで距離をとる。
先程から、今のような攻防の繰り返し。両者共にかなりの実力を有しているが為の拮抗状態。
先に痺れを切らしたほうが負けると分かっていても、鋼の心中は穏やかではなかった。
(さっきからヒラヒラと…まるで、実体がないみたいだ)
頬を伝う血を手の甲で拭って、鋼は目の前に立つ女の姿を見やる。
高い身長に、引き締まった肉体。茶色の長い髪はポニーテールに結えられている。端正に整えられた顔つき。その中でも最も目を惹くのが、彼女の持つ一振りの刀型CAD。
CADなのに凡そ精密機械の部品一つ見つからないのは、きっと気のせいではないのだろう。
魔法補助というシステム
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