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魔法科高校の神童生
Episode25:龍舜
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「まったく、姉さんは…」

悪態をつきながら、俺は姉さんの額に乗せていたタオルを取り替えた。

エリナが部長か誰かに呼び出されて慌ただしく帰った後、ベッドから落ちたであろう姉さんを助けにきた俺は姉さんが発熱していることに気づいた。どうやらウチの姉さんはめっぽう酒に弱いらしく、酔って時間が経過したら発熱してしまうようだ。本人は大丈夫だと言っていたが、長引かれても困るので今は自室のベッドで横になってもらっている。

「う、ごめんね隼人…」

「いいよ、別に。そんなことより姉さんは早く治すことだけを考えて」

苦しげに息をつきながらも、「はぁい」と返事をした姉さんに俺は微笑みかけると、水の入った桶を持って立ち上がった。

「それじゃ、俺は下にいるからなんかあったら呼んでね。水と薬はデスクの上に置いておくから、後で軽食作ってあげるからソレ食べたら飲んでよ」

「はいはい、わかってますよー」

言われなくとも、とでも言いたそうな顔に俺はデコピンした。いつもならそんなことしたらフルボッコにされるだろうけど、今回ばかりはそれはなかった。

「そう言いながら姉さんは薬なんか飲まないじゃないか。ちゃんと飲んでよ!」

「りょうかいしましたぁー」

まったく、本当に分かったのかなぁ。姉さんったら意外と病弱のくせに風邪薬とか解熱剤とか飲もうとしないんだもんなぁ。

「飲まなかったら俺が無理矢理飲ませるからね」

「ふぇっ!?」

変な声を出して、発熱のせいで元から赤かった姉さんの顔が更に真っ赤に染まった。はて、俺は変なことを言っただろうか。

「の、飲ませるって…どうやって?」

「どうやってって…抵抗するなら、硬化魔法で口を固定してから無理矢理かなぁ…?」

「……あぁ、そう」

途端に冷めた顔になった姉さんに、俺は首を傾げることしかできなかった。





















「……渡辺委員長、少しいいですか?」

明日の公開討論会の対策会議と称された話し合いが終わり、雑然とした雰囲気の風紀委員会本部。その組織の末席に加わっている隼人は長である渡辺摩利に声をかけた。

「なんだ?」

「明日の警備のことで、少々話がありまして…この後空いてますか?」

隼人は今回の事件に対してかなりの警戒をしている。なぜなら、今回の事件はブランシュといった過激派反魔法組織に加え、敵対国である大亜連合も加わっている。およそ事件の全貌を掴みかけている人間としたら、当然の行動だ。

この事件の危険性を十分に理解している隼人だからこそ、今回の風紀委員会の決定に不満があった。

「ああ、問題ない」

「なら、カフェテリア辺りに移動しませんか?」

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