第178話 血塗れのドムス・フラウ
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本の聖剣がガチャッ、ガチャッとぶつかり合う音だけがやけに大きく響く。
ショ「・・・なぁ、リョウ。」
最初に口を開いたのはショールだった。
ショールは歩きながら、後ろからリョウに声を掛けるが、リョウは振り向きもせず何も言わない。それでもショールは話を続ける。
ショ「俺達4人は、“あの時言われた事”をする。でも、もし何らかの理由でそれが狂ったら・・・どうするつもりなんだ。」
ショールの問いにリョウの足がやっと止まった。それに続いてエルザ、グレイ、ユモ、ショールという順で足が止まった。
ショ「俺達4人は無事だったとしても、一番危険の立場にいるお前は・・・どうするんだよ。会場だと、誰も助けに行けないぞ。」
ショールの口調が徐々に強くなっているのは誰にでも分かった。ここでようやくリョウが振り向いた。
リョ「その時は、その時だ。」
ショ「はぁ?」
リョウの返答にショールはショールらしくない、何ともマヌケな声を出す。
リョ「俺の性格、お前等は知ってるだろ?」
リョウは顔を再び正面に向けながら問い掛けるように言うと、
ユ「楽観的で、バカそうに見えるけど意外としっかりしてる頼りになる存在。」
今までずっと黙っていたユモが口を開く。本人は気づいてないかもしれないが、リョウにとって結構失礼な事を口走っている。
ユ「そして、一度決めた事、約束した事は最後までやり抜く精神を持っている、でしょ?」
最後は悲しそうな笑みを浮かべて本人に確かめるように首を傾げる。
リョウは黙って頷いた。
リョ「お前等は妖精の尻尾の魔道士であり、俺の大切な仲間だ。俺が危険な目に合っても、まずは自分のやるべき事をやってくれ。」
グ「でもよっ!」
何かを言おうとしたグレイをエルザが手で制止する。
エ「・・・分かった。お前の言うとおりに、私達4人は行動する。だが―――――」
エルザは一旦話を区切ると、別空間から銀色に光る剣を1本取り出し、刃先をリョウの首筋に向けた。
グ&ユ&ショ「!!!」
その様子を見たグレイとユモとショールは息を呑み、背筋をピーンと伸ばす。
エ「さっき自分が言ったとおり、私達はお前の大切な仲間だ。その大切な仲間を傷つけるような事だけは、絶対にするんじゃないぞ。分かったかっ!」
エルザの目付きが鋭くなった。
リョウは一切怯む事無く、しばらく真顔でエルザの事を真っ直ぐ見つめていたが、小さく微笑むと黙って頷いた。
それを見届けたエルザはリョウの首筋からゆっくりと剣を離すと、
エ「行くぞ。」
先頭に立って暗がりの道を歩き始めた。その後を慌ててグレイ、ショール、ユモという順に追う。ユモは一度立ち止まり
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