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星の輝き
第17局
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かなか困難だ。対局によっては、どちらが勝っているのかさえさっぱりわからないものもある。
 しかし、内容の把握はともかく、ただ打たれた碁を並べなおすだけであれば、碁会所のトップの面子であればある程度はできるはず。それゆえの疑問だった。

 その疑問に答えたのは緒方だ。

「一色碁だったらしい。二人とも白石で対局し、アキラ君の中押し負けだったそうだ」
「それはまた、なんと言うか…。小学生同士の一色碁か…、なんか自信なくすな俺…」
「ほんと、見れないのが残念だよ。あの時、藤崎あかりちゃんに見せてもらうんだったと後悔している」
 緒方のその言葉に反応したのはアキラだった。
「え!?藤崎あかり!緒方さん、彼女に会ったんですか!?」

「少し前に、碁会所でね。市河さんが、街で偶然会った彼女を連れてきてくれたそうだ。先生と六子の指導碁で、見事に5目勝ちだったよ。たいしたもんだった。…あの後来ないな。いつでも来てくれと、先生も俺も声をかけたんだがな」

 驚くアキラの様子を眺めながら、緒方が告げた。

「その藤崎あかりちゃんというのは?」
 芦原の質問に緒方が答えた。
「その子もアキラ君と打ってるんだよ。2回ね。1回目は、三子で打って、アキラ君の2目勝ち。2回目は、互先で、アキラ君の15目半勝ち。で、その子はどうも、進藤ヒカルに碁を教えてもらっているらしい。進藤ヒカルの弟子だそうだ」
「その子もたいしたもんですねぇ、アキラ相手にそこまでの勝負になるんだ。どんな内容だったんです?」
「どちらも立派な碁だったよ。アキラ君も本気のね」

 その緒方の言葉を聞いて、アキラの父である塔矢行洋も口を挟んだ。

「確かに立派な子だった。子供ながらにしっかりとした碁を打った。機会があれば、また打ってみたいものだ。彼女の師匠とやらの、進藤ヒカル君ともな」

「先生相手にそこまで打てるんですか…。実質先生と五子の差だとすると…、その子でアマトップレベル?で、進藤君とやらはその子よりも上なんですよね?まいったな、ほんとにプロレベルなんですか…。プロレベルのアマチュアか…。まるでsaiだな…」

 芦原が思わずつぶやいたその言葉に、緒方は興味を引かれた。
「sai?誰だそれは?」
「ああ、最近ネット碁で話題になっているんですよ。突然現れて、負けなし。全対局で勝利しているんです。噂では、プロも負けてるとか」
「ほう、それはすごいな、無敗か」
「ええ。どこのプロだろうって噂だったんですが、あまりにも頻繁に打つんですよ。それも相手を選ばず。だから、こんなに頻繁に打つプロなんているわけないけど、じゃあ誰なんだって」

 部屋の隅に置いてあるパソコンを眺めながら、緒方はアキラに声をかけた。
「アキラ君はインターネット囲碁をやったことは?」

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