第一部 vs.まもの!
第17話 ねえ、もしも……。
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三方向に散って逃げた。間もなくその場所に火柱が現れた。
積み上げられた瓦礫をよじ登り反対側に転げ落ちると、行く手にガーディアンの浮遊する右腕が待ち構えていた。腕はウェルドを見つけるや、拳を作って突撃してきた。
「にゃーーーっ!」
床に伏せると、頭上すれすれを拳が飛んでいき、瓦礫にぶち当たって砕いた。飛沫と粉塵がもうもうと舞う。
「じゃあどうしろって言うんだよぉ!」
「喚くな。酸素が勿体ない」
次に逃げ込んだ瓦礫の陰には既にディアスがいた。
「おい! ノエルの意見はほっといてこの瓦礫使うぞ!」
「これは俺の瓦礫だ」
「なんだその意味不明な物欲は!」
「それよりあの扉を見ろ」
ディアスは山となった瓦礫の陰からそっと部屋の奥を指さした。
「材質はよくわからんが、あれも金属質の物であるように見える。ならば凍結魔法を当てれば温度差で格段に脆くなる筈だ。貴様は脆くなった扉を大剣で破壊しろ。それまでの間敵は俺が引きつける」
「へぇ、ここんとこ思っきりシカトしてきやがった癖に協力的じゃねえか」
「共闘関係にある以上は協力せねばなるまい。行け」
「うおおおおおおぉっ!」
ウェルドはヤケクソになって飛び出した。
「ノエルううううぅっ! 掩護しろおおおぉっ!!」
背中から冷気の塊が追い抜いて、出口付近で爆発した。扉と周囲の床と天井が、氷と霜で覆われる。
斜め前方にノエルがいて、物陰にしゃみこんだ姿勢のまま炎のスパイクを撃ってきた。ガーディアンのどちらかの腕が瓦礫に叩きつけられる気配。足もとに魔方陣が敷かれ、気にせず、その上を走り抜ける。背後で火柱が上がり、熱波が髪を煽り、背を叩いた。
ガーディアン本体の隣をすり抜けて、大剣を肩の上に構え、鬨の声をあげながら、扉に叩きつける。
蝶番が砕け、扉が奥に倒れる。打って変わって冷たい空気が頬を撫でた。
「急げ!」
そこは六角形の小部屋で、奥にも金属の扉がある。ノエルとディアスが敵の魔法攻撃の合間を縫って走ってきた。
「早く!!」
行く先の扉を体で押し開け、叫ぶ。
ノエルが、ディアスが、無論ウェルドも、その扉を潜った。最後、ガーディアンの頭部が猛然と三人を追って突っこんでくる様子が見えた。
扉を閉ざす。
砕け散るのではないかという勢いで、扉が向こう側から叩かれ、それきり静かになった。
生き延びた三人は、暫くその場で呆然と立ち尽くした。
ウェルドは大剣を背中の鞘に納め、ベルトで固定する。
疲労と脱力感から三人は無言だった。
そうね。
ツイてなかったわ。
ノエルはウェルドの背中に無言で語りかけた。
ねえ、そのツイてないのが、さっきの敵との遭遇で終わればいいわね。だけど、ねえ、もしも……。
「これか?」
その部屋の真
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