第一部 vs.まもの!
第17話 ねえ、もしも……。
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「トラップは遺跡でしか使えない。トラップは町で使える。即ちこの町は遺跡である。もしも町と遺跡が同化した、または同化しつつある、という事だったら?」
「おいおい……」
その時、戸が開いた。
「やあ、ウェルド君にディアス君。おはようござ――」
声が途切れた。
顔を戸口に向ける。
まぶしい街路。通りを挟んだ向かい側に積まれた樽などに何かがつっこみ、派手な音を立てて散乱するのが見えた。
フリップパネルが一つ消えてなくなっている。
ウェルドは硬直した。
一秒が永遠のようだ。
樽がごろごろ動いた。
ディアスに目で助けを求めるが、彼は「知るか」とばかりに首を横に振った。
戸口から射しこむ光を男が遮る。
クムランが、ヨーグルトのような笑顔で
「ウェルド君……?」
と呼んだ。
※
「クムラン先生!」
ノエルが息を切らして駆けこんできた。室内にはクムランとディアスが立ち、何か話していた。
「先生! 何があったんですか!? さっき凄い悲鳴が……」
「やあ、ノエルさん。お早うございます」
「……あ、あれ……?」
クムランの爽やかな挨拶を受けて、ノエルは困惑して辺りをきょろきょろした。
「先生、何も変わった事はありませんでしたか? 確かにさっき凄い音と悲鳴が……」
「大丈夫ですよ。さ、いつまでもそんな所にいないでノエルさんも上がってください」
「はい。あの、ウェルドは来ていませんでしたか?」
「ええ。彼なら、そこに」
彼が手で示す方を見ると、テーブルの下でウェルドが小さくなって、目を見開いてガタガタ震えていた。
「ウェルド!? ど……どうしたの……?」
「――お、お、お、俺は、恐ろしいモノ見た、恐ろしいモノ見た、恐ろしいモノ見た――」
「彼なら大丈夫ですよ、少しビックリしただけです」
「何にビックリしたんですか?」
「色々ですよ、あはは」
ノエルはディアスを見たが、彼は何も言わなかった。仕方なく気を取り直して、ノエルは切り出した。
「先生、あたしたち、そろそろアスラ・ファエルの第一神殿に太陽の宝玉を探しに行こうと思うんです」
「ついに行かれるのですね。あなたが元気になって、安心しました」
「はい、先生! ウェルドが誘ってくれたし、それに、早く先生のお手伝いに集中できるようになりたいですから。正直遺跡に潜るのはまだ少し怖いけど、早く第一神殿の先も見てみたいんです。それに先生、いつか一緒に遺跡に入ろうって約束してくださいましたよね」
「ええ。私の方も、それを楽しみにしていましたから」
「先生、いつもバルデスさんと潜ってらっしゃいますもんね。あたしも先生が戦ってらっしゃるところ、みたいです」
「嫌だああああああああっ!!!」
ウェルドが叫び、椅子の脚にしがみついて
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