暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第17話 ねえ、もしも……。
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アスは腕組みし、溜め息をついた。
「この話は終わりだ。とにかく今の俺の興味は貴様が話したがる次元にはない」
「へぇ。じゃあどこにある?」
「貴様等が遺跡の外でトラップカプセルを利用できたという点にある。理由を知りたい」
 ディアスが細い目をテーブルにやる。そこには、昨日まで彼が借りていたと思しき本が数冊積んであった。どれもクムラン自身の手によって書かれ、まだ外界に広められていない書物だ。

「思念を具現化し相手を攻撃、あるいは治癒する事ができる『魔法』。念じるだけで一瞬で遺跡から町に戻る事ができる『時の行路図』。そして、原理は一切不明ながら数々の装置を出現させる『トラップカプセル』」
 あの朝クムランは、門の前の広場に集まったウェルド達にこう話した。
「魔法は杖や石板などの専用の道具で扱うことが可能です。これは外界でも同じです。実際魔法具の流通はアノイア教会によって厳しく制限され、それを独占する聖職者が治癒の魔法を扱い奇跡を演出する為に使われています。
 ですが残る二つはそうではありません。遺跡を一歩でも出てしまえば、時の行路図はただの羊皮紙、トラップカプセルはただのきれいな玉……。カルス・バスティードの町ができて以来、多くの冒険者が試したのですが、誰一人遺跡の外でトラップを作動させ得た方はいらっしゃいません」
「毎年一人はいるんだよな。喧嘩相手をぶっとばす為にトラップカプセルを使いたいから発動方法教えてくれって言いに来る奴が」
 バルデスが逞しい両腕を広げてから、肩を竦めた。クムランが苦笑する。が、その笑顔はすぐに曇った。
「私の研究が間違っていたのかも知れません。どこか……何か……」

「ってクムラン先生は言うけどさ」
 再び、クムラン宅のウェルドとディアス。
「実際に使えたんだもんな、俺もレイアもアーサーもエレアノールも。起きた事が全てだろ?」
「……そうだ。だからあの学者は過去の実験で得た全てのデータを精査し直すそうだ。考えるだけで気の遠くなる作業だな……。俺もそれらの本を、書かれている内容に矛盾がないか確認しながら注意深く読んだ」
「結果は?」
「本の内容には如何なる齟齬も認められなかった」
 ウェルドは自分のトラップカプセルを出し、掌の上でぽんぽん投げてみたり、転がしてみたりした。
 トラップの出現を念じると、室内にフリップパネルが現れた。窓からの光を浴びて、トラップの陣が青く輝く。
 右方向。左方向。
 二つ。三つ。四つ。五つ。
 どこにでも。いくらでも。
 遺跡内で使用する感覚と、何も違いはなかった。
「あるいは、トラップカプセルを遺跡内でしか使用できないというのは間違っていないかもしれんな。その方がよほどまずい事になりそうだが……」
 ウェルドはディアスと向き直る。
「どういう事だよ」
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