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万華鏡
第六十三話 第三試合その十三
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「それは」
「自分で?」
「うん、そうすれば一番わかりやすいと思うから」
「それもそうね、自分で確かめてこそね」
 一番わかりやすいとだ、彩夏も頷いてだった。
 そのうえで自分の左手でその左頬を抓ってみた、その結果は。
「痛いわ」
「痛いのね」
「夢じゃないわ」
 間違いなくだ、そうだというのだ。
「これはね」
「それじゃあ今実際に」
「逆転したのよ、阪神」 
 今出た逆転スリーランでだというのだ。
「そうなったのよ」
「そうよね、これはいいわね」
「流れ、よくない?」
 虎党の歓声が敵地であるマリンスタジアムを揺らしていた、その大歓声の勢いがそのことを何よりも表していた。
「阪神に傾いてるわよね」
「間違いないわ、これでね」
 里香も確かな声で言う。
「阪神勝てるわ」
「後は万全の中継ぎ抑えが」
「抑えてくれるわ」
 その一点を守ってくれるというのだ。
「安心していいわ」
「つまりさっきのホームランで試合にも勝って」
「それでシリーズの流れもね」
 それもだ、再び掴んだというのだ。
「これはいけるわ」
「そうなのね、それじゃあ」
「シリーズ、いけるかも」 
 里香は笑顔でこの言葉を出した。
「少なくともこの試合は勝ったわ」
「そうね、じゃあね」
「飲もう、二勝目のお祝いに」
 ほぼ決まったそれにだというのだ。
「どんどんね」
「うん、じゃあね」
「飲むか、一層な」
 琴乃だけでなく美優も応えた、そしてだった。
 美優はあるものを出してきた、それはというと。
「泡盛な」
「沖縄のお酒ね」
「それもあったの」
「これは美味いぜ。しかも効くからさ」
 アルコール度がだ、かなり強いというのだ。
「飲もうな、お祝いに」
「ええ、それじゃあね」
「五人でね」
「いや、嘘みたいだよ」
 美優も彩夏と同じ様なことを言う。
「シリーズこんなにいい感じでいけるなんてさ」
「そうよね、今のホームラン大きいわよ」
「日本一見えてきたわね」
 五人も笑顔で応える、そうしてだった。
 泡盛を飲んでみた、すると瞬時に身体の中が焼ける様になった。そしてその味もだった。景子が笑顔で言う。
「泡盛、いいわね」
「だろ?美味いだけじゃないだろ」
「効くわね」
 その焼ける様な感じを楽しみながら言う景子だった。
「これは」
「こうした時に取っておいたんだよ」
「そうだったのね」
「勝ったらさ」
 まさにだ、この試合にだというのだ。
「これ出そうと思ってたから」
「だから今なのね」
「ああ、出したんだよ」
 勝利が間違いないと見てだというのだ。
「じゃあ飲もうな、この泡盛」
「ええ、それじゃあ」
「いや、あたしが飲んでも美味いよ」
 美優もまたその泡盛を
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