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万華鏡
第六十三話 第三試合その十一
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「ウエストボールかね」
「それか内野が一気に前に出て」
「バント処理をしてか」
「そう、それでね」
 外されるか折角バントをしてもだというのだ。失敗に終わるというのだ。
「送りバントとスクイズは違うから」
「送りバントはね」
 どうかとだ、景子が話す。
「得点圏には進まれるけれど」
「一点入らない」
「そこが違うからか」
「まだいいのよ」
 それでだ、送りバントは何処か仕方ないとみなされてそれへの対応はスクイズよりは穏やかなものだというのだ。
「けれど一点入るとなると」
「違うわね」
「そうなるよな」
「けれど一点でもね」
 里香は祈る様な声で言う。
「入ってくれたら」
「大きいよね」
「その一点がね」
「何かね」
 ここでだ、また言う里香だった。
「このシリーズ投手戦だから」
「投手戦って阪神には多いけれどね」
 琴乃もここで言う。
「あまり勝ったことないのよね、投手戦で」
「そうなのよね。そう思えるのはね」
 それはだ、何故かというと。
「阪神はいつもピッチャーは抑えてくれるのよ」
「それでもなのね」
「そう、打たないから」
 やはりこれに尽きた、阪神は。
「それで打たないで負けるから」
「それがいつもだからなのね」
「そうしたイメージがあるのよ」
「ううん、つまり打ってくれた試合は勝ってるのね」
「阪神はね」
「そういうことね、だから阪神の投手戦は勝ってないイメージが強いのに」
 琴乃も納得した、そして投手戦が続くこのシリーズは。
「危ういイメージなのね」
「そうなるわね」
「ロッテも伝統的にピッチャー強いし」
 このチームもどちらかというとこの傾向がある、どういう訳か先発中継ぎ抑えと誰かが抜けてもすぐに若手が出て来るか頼りになる助っ人が出て来る。マリンガン打線もあるがこのチームもピッチャーのチームなのだ。
 そのだ、伝統的にピッチャーのチーム同士が戦うとだった。
「こうなることもなのね」
「必然かもね」
 里香も困った顔で言う。
「こうなることは」
「ダイナマイト打線大爆発って思ったら」
 ここでまたマリーンズサポーターが映る、彼等が掛けている垂れ幕には堂々とマリンガン打線大爆発とある。
「そう上手はいかないわね」
「打線は水ものっていうけれど」
「ピッチャーもよね」
「誰だって調子の波があるから」
 絶好調の時もあれば絶不調の時もある、ピッチャーだけが水ものでないのならば野球は苦労しないものになる。
「だからね」
「どっちが不調になるかなのね」
「あと運がね」
 この要素も大きかった。
「阪神にはあまりないものだけれど」
「お祈りしたから大丈夫よね」
 このことについてもかなり切実に言う琴乃だった。
「皆が」
「そう思うわ
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