第六十三話 第三試合その八
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「本当にね」
「そうね、日本一になって欲しいわよね」
「問題はこの試合よ」
これからはじまろうとしている第三試合にだというのだ、里香の言う通りこの試合がどうなるかだというのである。
「勝てば本当に大きいわ」
「うん、二勝一敗でね」
まさにキャスティングボード、シリーズのそれを握ることも可能だというのだ。
だが、だ。彩夏は里香にこのことを問うた。
「ロッテって今シーズンもだけれど」
「うん、本拠地では特にね」
「強いのよね」
「どのチームもホームでの試合が一番得意だけれど」
本拠地である、それこそ隅から隅まで知っている場所だからだ。戦いの仕方も知っているということである。
「それでもね、今シーズンのロッテはね」
「特になのね」
「元々癖の強い球場だから」
千葉ロッテマリンズの本拠地である千葉マリンスタジアムはというのだ。
「海に近いから潮風がきてね」
「風よね」
「それが強いから」
マリンスタジアムの特徴だ、その風をどう利用するかがこの球場での試合を有利に進める鍵の一つなのだ。
「それも風の向きも強さもよく変わるから」
「ややこしい球場よね」
「その球場を本拠地にしてるから」
「当然ロッテは風のことも知ってるのね」
「そのこともあって強いのよ」
「つまり地の利を生かしてるってことね」
「そうなるわ」
これは戦争だけではない、スポーツもなのだ。アウェーがどうとかいうことはサッカーだけのことに限らないのだ。
「そのマリンスタジアムに入っての試合になるわ」
「勝てるかしら」
彩夏は眉を暗くさせて言った。
「果たして」
「勝たないと駄目だけれどな」
美優も緊張している顔でテレビの画面を観つつ述べる。
「果たしてどうなるかだよな」
「ええ、風を使えれば」
「勝てるけれどな」
こうしたことを話したうえでプレーボールを待った、そして。
そのプレーボールが告げられ試合がはじまった、序盤は阪神もロッテも大した動きはなく双方得点はなかった。
だが五回裏にだ、ロッテは。
マリンガン打線が先発を捕らえ連打で二点を先取した、ライトからレフトへのやや強い風を使ったのか右バッターは流し左バッターは引っ張った、そうしてライトとセンターの間の微妙なポイントを狙ってのことだった。
二対零になった、この状況にだ。
琴乃は眉を顰めさせた、そのうえでチューハイを飲みつつ四人に言った。
「まずいわよね」
「ああ、先に点取られたな」
美優も困った顔で応える。
「これはな」
「この二点大きいわよね」
双方にだ、それぞれ全く違う意味で。
「やっぱり」
「相手のピッチャーもいいしな」
美優はロッテの先発について言った、彼はというと。
「今まで二塁も踏ませてもらってない
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