暁 〜小説投稿サイト〜
曹操聖女伝
曹操聖女伝第5章
[2/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
――」
李?・郭の配下の兵士を鼓舞するための怒号が曹操の言葉を紡ぐ事を阻むが、肝心の兵達は既に逃げ腰だ。
「下がんな!行けよお前ら!下がんな!行けっておい!」
李?が慌てて牢馬車に無理やり押し込めた董承達を人質にとる。
「退けよアマ!でないとこいつらを殺すぞ!」
しかし、曹操は再び神兵化し、李?を空中に浮かべてしまった。兵達が慌てて曹操を攻撃するも圧倒的な力の差に加え、一方は逃げ腰、もう一方は責任感と大義の塊。これではどうあがいても曹操には勝てない。
郭が曹操に斬りかかる。曹操の良く鍛錬された、バレエのように優雅でさえある武術に対して、郭のそれは野蛮な山賊スタイルであった。
「出直せ」
曹操にアッサリ叩きのめされた李?・郭はそのままほっとかれ、その後、山賊に成り果ててしまったという。
まあ、その統治能力は皆無といってよく、民が苦しむ一方で、李?と郭は互いに酒宴を開き、豪奢な生活を送っていたので、政治家より山賊の方が性に合っていると言えなくもない。

一方、予州潁川郡の許の地に都が移され、曹操は今上帝・劉協の後見人として司空・車騎将軍に任命された。
「国家の安泰は強力な軍隊と充分な食料にかかっている。ところが連年の戦乱の為に食糧不足は慢性化している。この打開策として屯田制と輪作制を導入しようと思う」
典韋は訳が解らず、??達に質問する。
「屯田ってなんスか?」
「兵士に農耕をさせるのさ。そうすりゃ、兵力と食料の一石二鳥だろ?」
「そして輪作は同じ土地に別の性質のいくつかの種類の農作物を何年かに1回の周期で作っていく方法です。栽培する作物を周期的に変えることで土壌の栄養調和が取れ、収穫量・品質が向上します」
「かににて、連作にての病原御身・害虫などに依る収穫量・品質の低下の由々しき事態を防ぐこと、出来るでござる」
しかし、曹操の屯田は一味違った。辺境地帯でなく内地において、荒廃した田畑を一般の人民にあてがって耕作させるもの(民屯)で、当初は許都の周辺で行われ、のち各地に広まった。屯田制下の人民は、各郡の典農中郎将、各県の典農都尉によって、一般の農村行政とは別に軍事組織と結びついた形で統治された。
これによって潤沢な食料を抱えることになった曹操は、各地の民衆を大量に集めることができるようになった。この屯田制が、後漢の群雄割拠の中でそれほど出自的に有利ではない曹操が、他の群雄を退け勝ち残る理由の一つとなった。
また勢力圏の境界付近に住む住民を勢力圏のより内側に住まわせた。これは戦争時にこれらの人々が敵に呼応したりしないようにするためであり、敵に戦争で負けて領地を奪われても住民を奪われないようにするためでもある。
その後も占領区の人心を巧みに掴み、兵力を急増させながら勢力を拡大する曹操軍であった。

人間に転生し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ