曹操聖女伝第5章
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その頃、今上帝・劉協は洛陽に逃げ込んでいた。
かつては漢の都として繁栄していたが、この当時残っていたのは、木の皮や草の根を齧る事でどうにか生き延びるのがやっとという極貧だけだった。
ここで機敏に動いたのは曹操であった。
曹操は臣下達を呼び出してこう告げた。
「天の声が“急ぎ洛陽に向かい、劉協を救い出せ”と言っているのだが、これについてどう思う」
荀ケが即答。
「正義無き覇道は混乱と滅亡への道!人心を掴む事は出来ますまい」
程cもこれに続く。
「さよう。漢王朝衰えたりと言えども、その影響力はまだまだ大きい。大義名分こそが最大の武器ですぞ!」
曹操はやはり天の声に従うべきと判断した。
「荀ケと程cの意見、最もである。よって、直ちに今上帝の迎え入れの準備に取り掛かる!」
だが、これはある意味競争であった。洛陽に向かっていたのは曹操軍だけではなかった。
「くそー!董承の野郎!ふざけた真似を!」
李?・郭らが今上帝・劉協を傀儡にする事で長安の実権を独占していたが、董承の策で仲違いを起こして劉協を手放す結果となった。そして、劉協奪還の為に洛陽に乗り込んだ。
曹操軍が洛陽に到着したのはその半日後であった。
??が悔しそうに舌打ちをする。
「チッ!遅かったかー!」
だが、曹操は諦めない。
「大丈夫だ。これが李?の仕業なら向かうは長安。しかも今上帝を奪われてからまだ日は経っていない」
すると、曹操は突然神兵化した。
「七星剣にたっぷりと日光と月光を吸わせた。宝玉7個分は神兵でいられる!」
そう言うと、曹操は長安に向かって飛び立ってしまい、典韋と曹仁が慌ててそれを追った。
李?・郭は劉協を無理やり馬車に乗せ、董承達を牢馬車に無理やり押し込め、長安に凱旋しようとした。
「いいか劉協!お前は俺達の道具だ。道具は持ち主を裏切ってはならない。持ち主の指示に忠実且つ的確に動くのが道具の美徳だ。解ったか!?」
李?・郭が劉協に行っている説教に董承が真っ向から反論した。
「お前達はそれでも人間か!天子を敬う心を失い、庶民を虐げる!これ―――」
郭が牢馬車を思いっ切り叩いた。
「黙れ貴様らー!てめーらのせいで劉協は自分の正体が俺達の道具である事実と道具の美徳を忘れちまったんだよ。死んで見せしめとなって償わないとな!」
董承達は愕然とした。この様な外道に漢王朝を乗っ取られ、それに対して何も出来ない。これがこの世の正しい姿なのか?だが、天は彼らを見捨ててはいなかった。神兵化した曹操が漸く追いついたからだ。
圧倒的な力で李?・郭の配下を蹴散らすと、神兵化を解き、劉協に膝を屈する曹操。
「この戦乱の中で洛陽を修復するのは困難です。そこで、我が勢力圏内にある許の地に御移り頂きます。許には既に城郭宮殿全てが備わっておりますれば―
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