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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第340話】
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深い眠りから覚める様に徐々に、徐々に意識が戻るにつれシャルの俺を呼ぶ声が耳に聴こえてくる――。
「――トッ! ヒルトッ!」
「んんっ……!」
「あ……。 よ、良かった……ぐすっ……」
意識が戻り、ゆっくり瞼を開くと格納庫の明かりが視界を覆い、その眩しさに目を細める。
――て、その明かりを遮る様にシャルが俺の顔を覗き込んできた。
後頭部に柔らかな感触が伝わってくる――膝枕されてるのがわかり、ちゃんと目を開けると涙を流してるシャルの顔が目に映った。
「……おっす、シャル」
「ば、バカ……! ぼ、僕をあまり心配させないでよ!! ……呼吸はしっかりしてるのに意識が戻らないから僕……凄く取り乱したんだからね!?」
「ご、ごめん……。 だから泣くなよ、シャル?」
手でシャルの涙を拭う――本気で心配したのだろう、シャルには悪いことをしたなという罪悪感に胸が押し潰されそうになる。
「あ、あまり心配させないでよ……? でも良かった……えへへ」
まだ目に涙を浮かべるシャルだが、満面の笑顔で嬉しそうに言った。
このまま膝枕されるのも悪くないが、格納庫でされるよりはベッドで膝枕されて耳掃除してもらう方がいいと思い、ゆっくり身体を起こす。
「ん、もう大丈夫だぞシャル? でも心配かけたからな……何かお詫びしないといけないな」
「き、気にしなくていいよ? 僕はヒルトが無事ならそれで十分だもん……えへへ」
「そうか? ……でも、何か無いのか? 俺がお詫び出来るような事」
「……じ、じゃあ……またキスしてくれる……?」
――まさかのキス要求、さっき雅として現実に戻ってきて、今度はシャルから……このままじゃ、キスに対する抵抗感がかなり薄れていく気がする。
「き、昨日もしたけど……ぼ、僕は……やっぱり君ともっと……キスしたい……」
真っ赤に染まったままシャルは俯き、口にする。
「……わかった。 ……何か、シャルとはよくキスしてるよな?」
「そ、そぅだね。 ……もしかして、嫌だったりする……?」
「嫌ならしてないさ。 ……だけど、する度にシャルは傷付かないのか?」
俺の言葉に、力強く横に振るとシャルは――。
「……傷つくのを恐れてたら、恋愛出来ないもん。 僕なら大丈夫だから……お願い」
言ってから瞼を閉じるシャル。
昨日と同じ様にキスを待つその姿に、ドキドキさせられる。
正直、どの子も俺には勿体ないぐらい可愛い子だ。
そんな子達とキスが出来るだけでも、世の男性は羨むだろう……だからこそ、ちゃんと答えを決めないといけないのだが……。
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