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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
誓いと呪い
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分かりません。・・・でも、とても強い人でした。私達は何も出来ずに・・・」
「・・・そうか。」
「ただ・・・あの人は、音央ちゃんを誰かと間違えている・・・それか、誰かだと思い込んでいる様子が有りました。」
鳴央はそう語ってから、顔を上げる。
一輝を心配させてはいけないと思ったのか、その表情は優しく笑っていて・・・今日だけでその表情を何度も見た一輝は、再び歯を食いしばった。
「大丈夫です。あの様子なら、音央ちゃんに害を及ぼすことは無いと思いますから。だから、大丈」
そして、鳴央の言葉は遮られた。
一輝が抱きしめたことによって、物理的に中断されたのだ。
「一輝さん・・・?」
「もういい。・・・無理は、しなくていい。」
「無理って、何を・・・」
鳴央がそう言うと、一輝は一度、少しだけ鳴央を放して、その手を握って目の前で言う。
「音央が浚われて、不安なんだろ?」
「それは・・・」
「だったら、その感情は溜め込まない方がいい。・・・鳴央自身が、壊れるぞ。」
「でも・・・」
鳴央はそれでも、話そうとしない。
そんな鳴央の頭を自らの胸に押し付けて、片手は鳴央の手を握ったまま、もう片方の手でその背中をポンポン、と叩く。
「・・・今、ここにいるのは俺だけだ。そして、俺からは鳴央の顔は見えない。・・・他にも何か心配なこと、あるか?」
「・・・ダメなんです。」
鳴央はそう言いながら、必死に涙をこらえる。
「今、この感情をぶつけてしまったら、一輝さんに迷惑が・・・」
「そんなことなら、なおさら気にするな。俺にだったら、いくらでもぶつけてくれればいい。・・・今は、それくらいしか出来ないから。」
「でも・・・」
「いいから。俺としてはそれより・・・鳴央が壊れることの方が怖い。」
その言葉に感化されたのか、鳴央は涙を流しながら、語り始めた。
最初は静かに・・・それでも、途中からは泣き叫ぶように。
自分の妹が浚われたこと、その時に自分は何も出来なかったこと。
そして・・・自分のこと以上に、音央を心配する気持ちを、吐き出していった。
一輝はそれを、最後まで。
何も言わずに、ただじっと聞き続けていた。
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あの後、散々泣いて疲れたのか、それとも感情を全て吐き出して多少は楽になったのか、鳴央は眠りについた。
元々ベッドに座っていたこともあって一輝は簡単に寝かせることが出来たのだが・・・つながれていた片手は、眠っても離されることが無かった。
一輝は何故そうなったのかは分からないが、そこには・・・心細さが、あったのだろう。
「・・・大丈夫だ。」
一輝はそんな鳴央の手を手放さず、ベッドの横に座って、眠っている鳴央に語りかける。
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