世界の掟−−農家はやっぱりすごい
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、何も悪くないんです……が、臥薪様、どうか……」
「そうか、この小僧は何も悪くない。つまり全て自分に責任があると、そういいたいのだな?」
「は、はいそう、です。ですから……」
「――――ならば、もっとお仕置きが必要だな」
「え……?」
残忍に笑う臥薪を、凛音は絶望的な表情で見上げた。悪魔、などという陳腐なイメージでは描けない。およそ人間の良心というものが欠落した、ある意味で完成された人間だと冥星は感じた。こういう人種を、冥星は己の短い人生中で一人知っている。もっとも、方向性が違うのだが。
目の前の老人は最低な人間で、冥星の知る人物は自分よりもゴミ屑だった。それだけのことだ。
「ロリコン爺、残念だがお前の悪行はここまでだな」
「――――ほう……紛いなりにも人として感ずる部分があったのか?」
冥星は凛音の前に立ちふさがった。己の小さな体では目の前の屑を打ち取ることは不可能。己の非力な力では傷ついた少女一人、守ることなどできない。
もっとも、そんな面倒なことは絶対にしない男なのだが。冥星にはこの場を凌ぐための秘策があった。ここは大蔵の大庭。つまりこの場を通る人が必ずいる。さきほどの凛音の話では隼人とあの――――雛人形がいることは認識済みだ。ほんとは雛人形に会ってご飯を奢ってもらう手はずだったのだが、どうしてこんなことになったのか。早々に現れた面倒事に早くも逃げ出したくなった。
「この、き――秋坂冥星、人が殴られようが蹴られようが殺されようが知ったことではない。だが、食事を与えてもらった者を反故にすることは絶対にしないのだ。覚えておけ、ボケ爺」
「くっかっかっかっか…………やはり、やはり人生は面白のぉ……こんなにも嬲り殺したくなる童がたんとおるでな!」
凄まじい形相をした臥薪が冥星を飲み込まんばかりに襲い掛かる。いや、速度でいえば鈍重にも等しいが要はその気迫だ。よくもここまで快楽というものに忠実になれるものだ。歪みに歪みきった金持ちというのは手が付けられないほど厄介なのである。
「――――やめなさい!!」
冥星の灰色の脳細胞で計算した結果、もうすぐお昼時ということもありまもなくここに人が通るであろうと予測したのだ。それも、このボケ老人を制御できるほどの力を持つ人間が通ることを。
「おじい様、これはどういうことですか? 凛音は、私に授けたはずですが?」
「ふむ、人の物をすぐ欲しがるのが儂の悪い癖でな。かわいい孫娘の為にと思って手放しては見たが……惜しいことをした」
「凛音は私の奴隷です。これ以上おじい様が私の所有物を汚すおつもりなら」
「――――つもりなら、なんだと?」
「…………っ」
「ククククククク……姫よ、己の立場を弁えよ。お前に儂を屈服させることはできない。なぜなら、お前はまだ弱
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