世界の掟−−農家はやっぱりすごい
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…いいかげんにしろよ。姫には隼人がいるんだ。お前の出る幕なんかねぇんだよ」
「何を言っている。いいから飯を寄越せ。さもなくば大蔵姫を出せ」
「相変わらず意味わかんねぇやつだな……けど、姫には近づかせねぇからな」
「飯を寄越せ」
「飯もやらねぇよ!!」
イライラした声が屋敷の前に響き渡る。教養の欠片もない言葉使いのくせにお嬢様と呼ばれていることがなんともアンバランスな女、六道凛音は健康的な素足を惜しげもなく現した短いスカートをなびかせながら冥星のことを害虫でも見るような目で見下ろした。
しばしお互いを睨み合いながら対峙していたが、突然大きな腹の音がまたもや屋敷に響き渡り、騒然とした。辺りには既に二人しかおらず、もちろん腹が鳴ったのは、どちらか二人。
「まったく、女として恥ずかしいやつだな六道凛音」
「て、てめぇだろうが今の音は!?」
「根拠はあるのか? お前は朝ごはんを食べたのか?」
「う……今、ダイエット中だから」
「犯人はお前だ!!」
「う、うるせぇ! お前だってお腹空いているくせに!」
「腹が減った飯をくれ!」
「開き直ってんじゃねぇよ! と、とにかく今のは私じゃない! お前だ!」
「そういうことにしておいてやらんでもない。だが飯をくれ!」
「な、なんだよ、なんなんだよお前……気持ち悪っ!」
ゴキブリのようにかさかさと這いより、凛音に飯を要求するホームレスとも思しき少年。そう、冥星の行為は間違いなくたちの悪いホームレスと酷似している。これで劣悪な匂いがしたら即刻帰ってもらうことができるのだが、残念ながら彼はただのクラスメイト。しかも外部生という異端の存在だ。
外部生、か。凛音はその言葉の意味をかみしめる。
『あの学校に』転校してきた『外部生』とはつまり――――。
「……朝飯、一緒に食うか?」
「パンか? 白米か? 今日は白米な気分だがパンでも妥協するぞ」
「だからなんで偉そうなんだよ……ご飯だよ、米!」
「米はやっぱり魚○産のコシヒカリだ。それ以外は考えられん」
「それは私も思うけど……ムカつくなぁお前」
後ろをちょこちょことついてくる冥星を鬱陶しげに払う凛音。呆れながらも、よくもまぁ初対面から約二日でここまで自分のような……自分で言うのも気が引けるが、ガサツな女に話しかけられたものだと感心してしまった。
入っていきなり食堂に通された冥星は願ってもない展開だったが、主人にあいさつしろとかその他もろもろの手続きが必要なのではないかと思っていた手前拍子抜けしてしまった。
そして、目の前には豪華な食事……ではなく白米に卵が乗っけられた……TKG!
「なぜだっ!」
「はぁ? なにがだよ? 立派な飯じゃねぇか」
「貴様……謀ったな六道凛音!」
「ダ
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