第二章
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第二章
父親がカップ焼きそばを食べているその横にだ。ライゾウがいた。
ただそこにいるのではなくテーブルの上に上がってだ。そのうえでだった。
悠然と寝転がっていた。顔は王者の顔そのものだった。そうしてスフィンクスそのままのポーズでだ。父親のすぐ手元で堂々としていたのだ。
それを見てだ。長男はだ。
すぐにライゾウのところに向かいだ。叱ったのだった。
「こらっ」
するとだ。ライゾウはだ。
そのスフィンクスのポーズから腹を出して寝転がってだ。所謂遊んで、という構えを取った。このあまりにも無反省な態度に長男はさらに怒った。
それでひっぱたこうと右手を平手にして構えるとだ。ライゾウは一転反抗する顔になった。だが、だ。
すぐにテーブルから逃げ去った。その動きは異様に速かった。
そのライゾウが逃げ去るまでだ。父親はというと。
何も言わずにカップ焼きそばを食べ続けていた。そして長男がどうして怒らなかったのかと父親に問い詰めるとだ。返ってきた返事はこんなものだった。
「いいじゃないか、それ位」
こんなものだった。これは絶対にさせてはいけないと決まっていることでもだ。父親はあくまでライゾウの肩をもち甘やかすのだった。こうしてであった。
ライゾウはその日の後もずっとライゾウであり続ける。やはり我儘で何かと悪さを働く。そしてそんなライゾウに家族はというと。やはり甘いままだった。そうしてその悪さにだ。苦しめられながらも笑っているのだった。そんな悪い猫に対して。
スフィンクス 完
2011・4・26
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