第百七十三話 遠足はイゼルローン
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イエ・サンスーシ
侯爵夫人からの直談判を受けた皇帝は仕方なしにリヒテンラーデ侯を巻き込んでベーネミュンデ侯爵邸へ向かった。
館へ着き応接室へ通されると、其処には仁王立ちの侯爵夫人が待っていた。その場には昨晩から散々猫っ可愛がりされたためにグッタリと疲れた表情のテレーゼもいた。
「陛下におかれましては、ご機嫌麗わしゅうございますわ」
「シュザンナ、話とは何じゃ?」
皇帝も、知っていながらも話をはぐらかそうとする。
「まあ、陛下には、妾のこの怒りの意味がお分かりに成りませんのかしら?」
「まあ、まあ、侯爵夫人、陛下の御前でございますぞ」
リヒテンラーデ侯が余りの癇癪の夫人を諫めるが逆効果になる。
「国務尚書とも有ろう者が、殿下を危険に晒すとは如何な考えなのじゃ!」
侯爵夫人は鉾先をリヒテンラーデ侯に変える。
「侯爵夫人、此は極めて政治的な問題でございます」
そう言われても、政治に関しては全く門外漢の侯爵夫人には訳が判らないだけである。
「シュザンナ、テレーゼを向かわせるのは、テレーゼを皇位継承者として見ていないと内外に示す為なのじゃ」
皇帝の話に侯爵夫人もキーキー言うのを止めた。
「陛下、それはどの様な事でしょうか?」
「うむ、今まで前線へ皇帝も含めて皇族が向かったことはあるが、皇女が前戦へ向かうことなど前代未聞じゃ、皇位継承者ならば、態々前線へなど送らぬ。その為にテレーゼの我が儘で前線へ行くことで、内外にテレーゼの馬鹿さ加減を見せ、下手な皇位継承争いに巻き込まれないようにする為なのじゃ」
「そうですぞ、侯爵夫人とて、殿下が皇位継承争いに巻き込まれるのは望んでおりますまい」
そう言われると、侯爵夫人も考え込んでしまう。
「では、陛下、妾母子を御護り頂けますか?」
「無論じゃ、シュザンナもテレーゼも予の一番大事な存在じゃ」
元々、お花畑頭の侯爵夫人にしてみれば、テレーゼの安全を脅かす者が無くなるのであればとその時は納得したが、どうしても護衛にと、クルムバッハを連れて行くことを絶対条件とした。
その結果、テレーゼの元には、オフレッサーから派遣されたランズベルク伯爵、ズザンナ・フォン・オフレッサー、クルムバッハなど多彩な人材が溢れて、テレーゼの航海に花を添えることになった。
帝国暦485年10月25日
■銀河帝国帝都オーディン 宇宙艦隊総司令部 第十三会議室 ナイトハルト・ミュラー
この日、宇宙艦隊総司令部に私を含めて7人の提督がケスラー大将から呼び出された。皆が皆、テレーゼ殿下と何かしら繋がりのある人物で有り、ケスラー大将と面識のある者でもあった。
集まった7人で旧交を温めている中、ケスラー大将が副官を連れて入室してきた。
皆が皆起立
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