第百七十三話 遠足はイゼルローン
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しょうか、この様な時期に国務尚書が不在とは、たるんでいる証拠ですわ」
結局ノイケルン子爵とマリーンドルフ伯爵は、侯爵夫人が、今日は仕方ないと、館に帰るまでなんやかんやで2時間近く侯爵夫人に捕まり散々愚痴を言われすっかり疲れ果ててしまった。
「子爵、何故陛下とリヒテンラーデ侯は殿下の行幸を決めたのでしょうな?」
「さあ、全く判らない事ですな」
「捕虜帰還など、エッシェンバッハ元帥に任せておけばよいでしょうに」
「全くですな、ツヴァイ完工記念と言っても、今まで皇族が式典へ参加することなど無かったのですが」
「異例ですな」
「しかし、陛下の為されることですからな」
「我々には仕方無しと言えますな」
「全くですな」
帝国暦485年10月20日
■銀河帝国帝都オーディン フロイデン山岳地帯の山荘
ベーネミュンデ侯爵夫人が騒いでいる最中、何故かテレーゼが山荘で寛いでいた。
「お母様も、見事なまでに騒ぎ立てているわね」
グリンメルスハウゼンとTV電話で会話している。
『はい、侯爵夫人が殿下のイゼルローン要塞への行幸を会う会う尚書に聞きますので、既に貴族の間には殿下のイゼルローン行きの話が流れておりますな』
「此で、益々フェザーンと同盟に真実として流れる訳ね」
『そうですな。此だけ流れれば、信用するでしょうから』
「極秘のはずの皇女の行動が貴族の噂話からフェザーンに流れる訳だからね」
『そうなりますの。此でフェザーンの紐付きの内偵がし易くなります』
「フフフ、使える情報を最大限に使わなきゃだからね」
『そうでございますな』
「それじゃ宜しく頼むわ、此からお母様のお話を聞かなきゃ成らない訳だから」
うんざりした様子を見せるテレーゼを見て、笑うグリンメルスハウゼン。
『殿下、どれ程見事に味方を欺くかが謀略という物ですから、精々侯爵夫人を御騙しなされませ』
笑うグリンメルスハウゼンを見ながらテレーゼは頬を脹らませて答える。
「判ってるわよ。何とか丸め込んでみるわよ」
『期待しておりますぞ』
「ええ」
そんな事を言っていたテレーゼで有ったが、お母様の襲来にタジタジになるのであった。
「テレーゼ、いったいどうしたことなのですか?」
「お母様、何がでしょうか?」
「貴方がイゼルローンへ行くと言う話ですわ」
「エッお母様その様なお話は初耳ですわ」
「私の可愛いテレーゼ、貴方は私が護りますからね」
テレーゼの演技にすっかり騙される侯爵夫人であったが、そのままの勢いでテレーゼを引き連れて、ノイエ・サンスーシへ帰り、テレーゼを館に軟禁するという挙に出て皇帝に直談判を行うのであった。
帝国暦485年10月21日
■銀河帝国帝都オーディン ノ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ