Episode5 変わらぬ決意
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もないから、一旦さっきの場所まで戻りましょう」
「そうですね」
僕たちは、今来た道を戻ることにした。ここで、リポップを待つのは得策ではない。安地ではないので、モンスターとエンカウントする可能性があるからだ。それに、アイテムの消費をできるだけ抑えておきたいので、反対する理由がない。むしろ賛成だ。
「せっかく来たのに……。はぁ、ツイてないな……。きっと今日の運勢最低ね」
「そう、落ち込むことないですよ。三時間後、またチャンスがあるんですから」
「そうだけど、なんか悔しくてね」
「悔しい?」
「うん。悔しい。まぁ、元はあたしに原因があるんだけどね。マスタースミスとは名ばかりで、あたしもまだまだ未熟だってこと、改めて痛感したわ」
リズさんが苦笑しながら、そう吐露する。必死に笑顔を作ろうとしている、リズさんを見ると、心が痛む。記憶の中にある―――と重なり僕の心を締め付ける。
「リズさんは凄いですよ」
「えっ?」
「だって、自分を未熟だと言える人は、なかなかいません。自分をよく見つめることができ、自分をよく知っている証拠です。だから、リズさんは凄いですよ」
だから、僕は彼女のそんな作り物の笑顔を壊す為、言葉を発した。発した言葉は、もちろん本心だ。しかし、それは僕の自分勝手な都合が含まれていることも事実だ。
(はは……。僕って嫌な人間だな)
結局―――から逃げているだけなのだ。どこまでいっても、僕は弱い人間なのだ。人間はそう簡単に変わることができない。だから、僕はこの先も弱い人間のままなのだ。
一度もモンスターとエンカウントしないで、安地まで戻ってきた。僕は立ったまま、先ほどと同様、辺りの警戒を行うことにする。一方リズさんも、先程のように腰を下ろした。違う点は、リズさんが腰を下ろした場所が、僕の側だということくらいだ。
「シン、座らないの?」
「はい。僕はこのままで大丈夫です。気にしないでもいいですよ」
「そうは言うけど、気になるのよ。ねぇ、ここ座って」
リズさんが腰掛けている岩は、少し大きめの二人掛け用ソファーくらいある。その空いている左側を左手で軽く叩き促してくる。
(ここは、リズさんの言う通りにしておいたほうがいいかな?)
わかりました、と言って腰掛ける。それから、またお互い無言になる。僕はソロで活動している関係上、一人でいる時間が長いので、このままでも問題はない。特に、気まずいとも思わない。けど、何か話題はないか考える。矛盾しているかもしれないが、リズさんが、ソワソワしているので、僕から話を振ろうと考えたからだ。
(さて、どうしようかな?)
こういう場面で意識すると、なかなか話題というのは、浮かばないことが多い。そして、なんとか搾り出した話題というの
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