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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
18.July・Night:『The Planet Wind』
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連行される宇宙人』の図である。

「じゃあ、彼氏は借りてくじゃんよ、彼女?」
「彼氏ではありませんの! まぁそれはそれとして、コッテリと絞って下さいませね」
「白井ちゃぁぁぁぁぁん!? この人にそういう冗談通じないから! マジで、汗一滴出ないレベルに絞られるから!」

 ずりずりと引き摺られていく嚆矢の姿は、周囲の風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)達に遠巻きに忍び笑われていた。


………………
…………
……


 翠の銀毛の少女は、人混みに紛れていた。『木を隠すなら森の中』の格言の通り、その姿を最大限に利用して。

「……臭い。鼻が曲がりそうだよ。人間はよくもまぁ、こんな悪臭の中で生きてられるよね」

 黄色い外套の、首部分。中東の物のようなそれを、マスクのようにきつく鼻と口を覆って、不快そうに眉を潜めていた。
 辺りには、化学薬品や金属の焼ける臭いと言った、彼女には縁遠い臭気が満ちている。無論、彼女にしか嗅ぎ取り得ぬ臭いではあるが。

 それが、歩き出す。ひらひらと、人並みをすり抜けるように。まるで、涼やかな風が森の木々の間を吹き抜けるように。

 彼女が通り抜けた刹那、その周囲の者は一様に辺りの匂いを嗅ぐ。本能に刻まれた原始の記憶だろうか。
 遥かな太古の郷愁を誘う、朝露に濡れた若葉を揺らした風の薫りに。

「_______」

 だがそれも、人いきれに呑み込まれるほどに小さな声で彼女が何かを呟いた瞬間に消えた。()()姿()()()
 そしてその姿は、人通りの無い非常口の付近に唐突に現れた。いや、人ならば今しがた一人――『ツンツン頭の少年』が通って行った直後だが。

「さて、あの蛆虫の臭いは……っと」

 『この中か』、と扉に手を掛けた。オーソドックスな観音扉、押しても引いても開くそこに、鋭い鈎爪の指を掛けて。

「――って、スカシてんじゃねぇーー!」
「うひゃあ!?」

 正にその直後、屋内から響いた怒声に、彼女は電気に触れたかのように跳ね跳んだ。
 それはもう、車道の反対側の歩道の、街路樹の天辺まで。

 そして、ガラス張りの扉の中を伺う。見れば、そこには――狂ったかのように壁を蹴たぐる少女の姿があった。

「なんだい、あれ……やっぱり野蛮な種族だなぁ、人間は。それとも、ユゴスからの毒風でも浴びたのかな?」

 呆れたように視線を外す。その代わり、落とした視線には――走り抜けた一台の車。黒塗りの装甲車だった。

「はい――――見っけ」

 舌舐めずりの後、彼女は――――その車の、天板を目指して飛び出したのだった。


………………
…………
……


 ふう、と溜め息を吐く。気分は最
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