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打球は快音響かせて
高校2年
第二十八話 まだゴールは先
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ン2本を放っている。
戦前の予想ではこの秋の大一番だとされていて、観客も沢山入っていたが、今の所は海洋が帝王大のお株を奪う強打を見せつけている。

(ま、あんだけ部員居って、何でエースがあのレベルなんかとは思うけどな)

一方的な試合展開にお通夜のような雰囲気になっている、応援席に陣取る帝王大の控え部員70人。2学年だけの秋では破格と言える部員数の相手チームを見て、城ヶ島は内心で呟いた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


カコッ!
「あーっ最悪ーーッ!!」

セカンドゴロを引っ掛けた高垣は大声を上げて悔しがる。ゴロ処理のバックアップに走りながら、川道はほくそ笑んでいた。

(これで3回続けておんなじよーなバッティングや。こいつせっかちやさけ、真っ直ぐ見せ球にしてボール先行から緩い球投げちゃりゃ、イライラしてすぐ引っ掛けるわ。通算20本でも怖ない怖ない。)

<4番センター福原君>

打ち取られた高垣に代わって、4番の福原が打席に入る。3番の高垣、5番の花岡に比べて背丈は頭一つ低いが、スイングの鋭さは勝るとも劣らない強打者である。劣勢の試合展開に、顎の発達した福原の顔にも少しの焦りが見えた。

(こいつは高垣や花岡に比べると、打つ球はちゃんと選んでくるんよな。打てる球とそうやない球をちゃんと弁えてるっちゅーか、自分の身の程知ってるっちゅーか)

川道は迷いなくサインを送る。城ヶ島もそのサインにすぐ頷く。投球はバッテリーの共同作業。バッテリーの呼吸が合うと、どんどんテンポが上がっていく。

(ま、打てん球を続けてやりゃそれで終わりよ)
「ストライクアウトォ!」

右打者のアウトコースに逃げていくスライダー。テンポよく次々と投げ込まれるそのボールを結局捉え切る事が出来ず、福原は3球三振に終わった。川道が上機嫌で内野にボールを回す。バックの守備にもリズムが出る。

「何しよんね。」

観客席ではイライラした顔で京子が呟いていた。
翼はそれをチラと見て、唇を噛む京子の顔が実に悔しそうな事に気づく。

(やっぱり兄貴には打って欲しいんだな。)




カーーン!

5番・花岡の打球は痛烈なハーフライナーになってセンターにぐんぐん伸びていく。しかし、フェンスまではもう一伸び足りず、深く下がっていた外野のグラブに白球が収まる。花岡はあと少しでバックスクリーン弾だった自分の打球を見て、端正な顔に苦笑いを浮かべる。

(もう少しやったのに〜、て笑いよるんやろな。アホやな〜、その打球がホームランになったかて、一点しか入らんやんけ。5点差ひっくり返そう思たらもうちょい他に打ち方あるんちゃうの?まぁ、ちょっとビビったけどなww)

ベンチに戻りながら、川道が冷や汗を拭いつつ心の中で花岡
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