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打球は快音響かせて
高校2年
第二十八話 まだゴールは先
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のユニフォームの海洋の選手と、純白のユニフォームの帝王大の選手がそれぞれ試合前の円陣を組んでいた。明日の準決勝で三龍と対戦するのはこのどちらか。そして三龍はそのどちらにも、前チームの対戦では負けている。

「ぐうの音も出ないな〜」
「正しい事しか言うとらんわな」

1年のロリマネージャーにタメ口で叱咤されても、先輩である2年生は頷くしかない。もうみんな、京子に叱られるのに“慣れていた"。そもそも上下関係のユルい三龍では、1年が諫言するのも大した問題にならない。

「ま、福原の言う通りだな。私もベスト4まであっさり来た事に驚いてるが、逆を言えばこのチームのゴールはこんな所じゃないって事だ。」
「さっきの取材でも、聞かれたんは浅海先生の事ばっかりや。俺ら自身が取り上げられよる訳や無かった。やっぱこいつらに勝たな、認められんと思う」

浅海と渡辺がそれぞれ雰囲気を戒め、三龍ナインの視線がグランドに向く。

ここからが本番。相手は水面地区の強豪私学御三家、帝王大水面、水面海洋、水面商学館。



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「こういう時ってさ、やっぱ京子ってお兄ちゃん応援するの?」

目の前で繰り広げられる試合を観ながら、隣に座る京子に翼が尋ねた。

「…今日は帝王大に勝って欲しいですね」
「やっぱお兄ちゃんだからなぁ」
「いや、海洋の方が投手が良い分厄介だから。兄貴は嫌いです。」

何とも刺々しい言い方に、翼は苦笑いした。京子は表情一つ変えずに、グランドを睨みつけている。

「帝王大は春の選抜のクリーンアップそのまま残ってるさけなぁ。ガタイもええし、めっちゃ打ちそうやけど」
「うん。でも今の試合展開は……」

枡田の言葉を受けて京子が話し始めた時、グランドから“また”快音が響く。

「……完全にそのお株を奪われてるっちゃね」

京子の顔は複雑だった。




ーーーーーーーーーーーーーーー



「穴井いいねー!」
「この秋二本目出ました出ましたー!!」

水面海洋ベンチから喝采が上がる。
ガッツポーズしながら背の高い選手がダイヤモンドを一周する。その顔には余裕の笑みも浮かんでいる。

「またカチコんだんけ?なんや、案外歯ごたえないの〜。」

ベンチ前で城ヶ島とキャッチボールしながら川道が拍子抜けした様子で呟いた。城ヶ島はそれを諌める。

「あんま気ィ抜くな。あっちの打線もまぁまぁエグいんやけ。こっちも取られるかもしれんけん。」
「あれあれ、城ヶ島ちゃんいつからそないに謙虚になってしもーたん?」

ミットで顔を隠しながらニヤニヤと笑う川道に、城ヶ島は呆れたようにため息をついた。
今の試合のスコアは5-0で海洋のリード。海洋打線は既にホームラ
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